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サッカー小林祐希「タトゥーで代表落ちならしょうがない」

スポーツ 投稿日:2020.03.11 06:00FLASH編集部

サッカー小林祐希「タトゥーで代表落ちならしょうがない」

 

「べつに、悪いことをしたわけじゃないですからね。いろいろな意見があるのはわかりますが、他人にどう言われようと、関係ないですよ」

 

 2020年1月、サッカー日本代表候補の小林祐希(27)が、自身のSNSを通じて、新たに入れたタトゥーを動画で公開したことに、ファンからは賛否両論の声が寄せられた。

 

 

 右腕の外側に刻んだ、リアルなトラのデザインがそれ。日本社会では、依然としてタトゥーに対してネガティブなイメージが強く残っているが、小林はあえて公開した理由について、こう話す。

 

「日本の文化や歴史で、タトゥーが受け入れられる国ではないことは理解していますし、無理に受け入れてほしいとは思いません。ただ、批判するのはどうかなと。

 

 欧州では多くの選手が入れているし、メッシだってスゴいですからね。『タトゥーが怖い』って人がいますけど、メッシが怖いですか?(苦笑)

 

 俺は23歳のときに、2人の妹と母親の名前を彫ってから少しずつ増やしていますけど、やたらめったら入れているわけじゃない。一個一個、それぞれに思いがこもっているんです」

 

 2019年12月に、約8時間半かけて彫られたというトラには、こんなメッセージがあるという。

 

「2つ理由があって、ひとつは俺も(2020年)4月に28歳になるし、若いときみたいに全部のチャンスに全力で食らいついていたら体力を使う。だから、『ここぞという大一番でのチャンスを、ものにしたい』という意味をこめた。

 

 そしてもうひとつは、サッカー選手としてはもちろん、いくつかビジネスを立ち上げている身としては、俺の目標は俺ひとりのものじゃない。聞けばトラは、子供や仲間のために獲物を狩って、自分の居場所に帰るらしい。その考えに共感したし、自分の目標はみんなの目標でもあるので、その思いをこめました」

 

 また背中には、縦にきれいに漢字が刻まれている。

 

「カッコいいでしょ。これは鏡文字になっていて『愛・感(謝)・縁・楽(しむ)・挑(戦)・道』と、俺が好きな漢字を、書家の先生に書いてもらって入れたんです。欧州の人は、なぜか漢字が好きで、背中のタトゥーを見た人には『クール!』って言われますね(笑)」

 

 3年間所属したオランダの「ヘーレンフェーン」から、ベルギーの「ベフェレン」に、2019年9月に移籍した小林。欧州4大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ)へのステップアップを望んだが、かなわなかった。

 

 また、2019年は3月と6月に森保ジャパンに招集されるなど、日本代表復帰を果たしたが、秋以降は招集されず。ベフェレンでも、試練のシーズンを過ごしている。

 

 小林は、おもにトップ下として19試合に出場し、2ゴール2アシスト。リーグで最下位に沈み、シーズン途中に2度も監督が交代するなど、チームの状況が混迷を極めるなか、孤軍奮闘している。

 

「今季はプロ入り10年めで、いちばん苦しいシーズン。ヘーレンフェーンにいたときも愚痴ることはありましたが、ちょっとその質が違う(苦笑)。

 

 俺は代表に入りたいとか、もっといいリーグに行きたいとか、目標があるからモチベーションを保つことができたけど、それがなければ難しかった。チームが勝たなければ俺個人の評価にも繋がらないし、チームが戦う集団になりきれていない寂しさはある」

 

 2019年の代表戦では、ボランチとして一定の評価を得たが、日本でタブー視されているタトゥーを公にしたことで、代表が遠のくことが懸念される。

 

「タトゥーのせいで呼ばれないなら、しょうがないですよ。去年の代表戦は悪い感触ではなかったけど、俺が出たのは所詮 “練習試合”。やっぱり、本チャン(W杯やW杯予選)に出たい。

 

 守備に不安があると指摘されるけど、ちゃんとタックルしてるし、空中戦の勝率とかも見てほしいですね。次のカタールW杯は30歳で、その次のW杯は34歳。そこまで狙ってますよ(笑)」

 

 ただ、代表入りには、より高いレベルでのさらなる活躍が必要なことは、本人が誰よりも理解している。

 

「いまの状況では厳しい。昔は自分に対して、過剰な自信があったけどね。ベルギーリーグは、けっしてレベルが高いわけじゃないし、そこでめちゃくちゃ点を取っているわけでもない。代表に呼ばれるには、結果を出すしかない。

 

 でも、代表に選ばれなくても、べつに死ぬわけでも、サッカー選手として終わるわけでもない。だから、『そこに一喜一憂する必要はない』とも思っています」

 

 今季終了後に、まずはひとつでも上のチーム、上のリーグに行くことが当面の目標だ。

 

「だって、そこに行けば、また勝手にモチベーションが湧いてきますから。今はしんどいけど、いつか笑って『いい経験だった』と言えるように頑張ります」


写真・橋本涼太
取材&文・栗原正夫

 

(週刊FLASH 2020年3月24日号)

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