セクシー女優にとって避けて通れない「家族」の問題。そんなセンシティブなテーマに、正面から取り組んだ書籍『AV女優の家族』が話題だ。レジェンド女優の元・江上しほが、知られざるエピソードを語る――。
九州から上京し、「江上しほ」の名前で2年間に約200本のAVに出演。現在は、フリーのヨガインストラクターをしながら、女優としてのメジャーデビューを目標に日々、精力的に活動している。
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母親のすすめで始めた器械体操では、国体やインターハイに出場した経験もある。
「家の近くに有名な体操教室があって、3歳のころに母親がそこに入れたのが、体操との出会いです。お母さんが毎日、送り迎えしてくれてました。お母さんに褒められたくて、続けてました」
しかし高校3年生のとき、大会前日の練習中に前十字靱帯を怪我してしまう。これをきっかけに、体操の道をあきらめることになった。
その後、大学に進学するも中退。そしてヨガの勉強のため、東京の友人宅に1週間ほど泊まりに行ったところでスカウトされ、AVデビューを果たす。
「最初、お父さんにバレて、お母さんから猛烈に電話がかかってきました。でも、私が気持ちを曲げないので、『妹たちにバレないんだったら、勝手にやっときなさい。ママはもう知らないから』って。結局、妹たちにもバレてしまいましたけど、やめなかったです」
デビュー直後は、2人の妹から「お母さんの気持ち考えたことあるの?」と言われたりもした。しかし今では、妹たちとも仲よしに戻り、誕生日には「自慢のお姉ちゃんだよ」とメッセージをもらったりするという。両親からは、理解は得られたのだろうか。
「結局、引退するまでの2年くらいは、会わなかったですね。でも、『最後の撮影終わったよ』という報告の意味で、会いに行ったら『あ、おかえりー』みたいな。なんだかんだ、仲いいんですよね、今でも」
現在は、お金を稼ぐためにAV女優や風俗嬢、パパ活などをせざるを得ない女性たちに、自立を促す事業を模索しながら、自身が女優として活躍するのを夢見て、舞台などに立っている。その原動力とは。
「やっぱり、親に自慢に思ってもらいたいっていうのがいちばんかな。有名になったら、親に認めてもらえるんじゃないかっていうのがあって」
他人になんと言われようとやる、という信念の背景には、「家族から認められたい」という切実な思いがあった。
元・えがみしほ
1992年3月1日生まれ 3歳から器械体操を始め、インターハイにも出場したが怪我で挫折。ヨガインストラクターとして働いていた2015年、スカウトをきっかけに「江上しほ」の芸名でAVデビュー。現在は改名し、テレビなどでの活躍を目指して、タレント活動に邁進
取材&文・寺井広樹
※『AV女優の家族』は光文社新書より発売中
(週刊FLASH 2020年7月21日号)