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安倍首相よ!男系男子にこだわれば「天皇家」断絶の可能性も

社会・政治 投稿日:2017.02.19 06:00FLASH編集部

安倍首相よ!男系男子にこだわれば「天皇家」断絶の可能性も

 

 天皇陛下の譲位をめぐる有識者会議の論点整理が1月23日、公表された。一代限りの譲位、恒久制度としての譲位について、それぞれ利点と課題を併記している。また17日には、西村康彦宮内庁次長が、新天皇の2019年元日即位は困難と発言。政府と宮内庁の連携不足が滲んだ。

 

 あくまでも安倍政権がこだわるのは、一代限りの特例法で譲位を認める案だ。

 

「政府はそもそも、譲位を認めたくありません。次善の策として、一代限りの特例法でしのごうとしているんです。また、特例法にしたい理由はもうひとつあります。特例法でなく皇室典範改正に手をつければ、「男系男子」にまで踏み込まなければならなくなる。そこに議論が広がっていくのが怖いからです」(皇室研究家・高森明勅氏)

 

 皇室典範第一条には、天皇の皇位継承に関して次のように定められている。
〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する〉

 

 この規定に従えば、現在、皇位継承権を持つのは皇太子さま、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまのみ。2016年10月、継承権5位の三笠宮崇仁さまが薨去(こうきょ)され、4名となった。

 

「現状の皇室典範規定のままでは、近い将来、皇位を継ぐべき男系男子が絶えてしまうかもしれません。宮家消滅、皇位継承者不在となり、ひいては皇統が断絶する可能性が現実味を帯びてきているのです」(高森氏)

 

 約2700年の間、受け継がれてきた男系天皇の歴史が、現代になって不安定になったことには、以下の背景が挙げられる。

 

 まず終戦後、宮家がいっせいに皇籍を離脱し、皇族の数が減少したこと。そして、側室制度がなくなったこと。現在も皇室に残る4宮家のうち、秋篠宮家以外に宮家を継ぐ男性は生まれておらず、将来、宮家が廃絶=消滅することは明らかだ。そして、秋篠宮家も、秋篠宮さまが将来、天皇に即位することがあれば、その時点で宮家としては消滅する。悠仁さまご誕生以後、皇室には皇位継承権を持つ男子が生まれておらず、近い将来も生まれる見込みは少ないと考えられる。

 

 天皇家から枝分かれした男系男子という点でいえば、戦前に皇籍離脱した宮家の子孫や、江戸時代に公家の養子となった皇族の子孫などが、じつは民間に多数、存在する。大阪・北新地でワインバーを経営する男性(38)もその一人だ。店に電話すると、従業員らしい女性が出た。取材を申し込むと、女性の背後から「『忙しい』って言うとけ」と、男性の声が聞こえた。

 

 もう一人、河内長野市内の神社で神職をしている男性(39)に電話したところ、母親と名乗る女性が出た。「皇族の子孫とお聞きしましたが」と聞くと「はあ? 知りません。うちは関係ありませんから」との答えだった。

 

「まったくの民間人を、いきなり天皇にしようなどと考える人はいません。ですが、旧宮家系などの若い男子に宮家の猶子(ゆうし=準養子)となってもらうとか、あるいは女性皇族が、血縁の遠い男系男子と結婚することで、男系を維持するなどの手段は可能です」(徳島文理大学・八幡和郎教授)

 

■呪縛を解くためのたったひとつの方法

 

 はたして、皇統の断絶を防ぐ手立てはほかにないのか。高森氏は、今こそ皇室典範に踏み込むべきだと語る。

 

「皇室典範から『男系』『男子』を削り、女系・女性天皇を認めればいい。それと、女性宮家を作るために、結婚後も皇室に残れるようにして、その夫となる男性が皇籍を取得できるようにします。そこで生まれたお子さんは、両親とも皇族だから当然、皇族です。

 

 民間の男系男子の方々は、社会人として仕事を持っているし、家庭もある。皇籍取得となると人生が激変するわけです。もし、ほいほいと取得しようとする人がいたら、逆に怖い。そんな皇族を、誰が尊敬できますか。

 

 過去に女性天皇もいたし、法的(※)には女系も認めていた。側室がない以上、男系に限定していれば、皇室は途絶えてしまうのです」

 

 本誌が以前から主張している「愛子天皇」も含め、皇室を「男系男子の呪縛」から解き放つための、タブーなき議論が必要だ。

※8世紀当時の律令に規定がある

 

(週刊FLASH 2017年2月21日号)

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