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日本より筋金入り…元社員ら語る“サムスンのブラック度”

社会・政治 投稿日:2014.01.08 07:00FLASH編集部

 サムスングループは、全体の売上高が国内総生産の約4分の1に相当するなど、韓国トップのグローバル企業である。だが、光があれば影がある。’12年には、世界で最も悪い企業を選ぶ『パブリックアイ賞』で3位(1位はブラジル鉱山・建設会社)に選ばれるなど、労働問題や社会的責任を問う声が高まっている。

 

 その不満が一気に爆発したのが昨年末。サムスン電子サービスの契約社員だったチェ・ジョンボム氏が、32歳という若さで車の中で練炭自殺した事件だった。

 

 チェさんは、サムスンが製造・販売した家電製品を家庭訪問して修理する仕事に従事していたが、労働条件は厳しく給料は出来高制。そんな折、サムスンに労働組合が結成され、チェさんは組合活動に積極的に関わることになった。だが、それは会社がもっとも嫌うことだった。韓国経済に詳しいレイバーネット日本代表の安田幸弘氏がその実情を明かす。

 

「社長は訪問修理の配分を極端に減らし、労組を抜けろと強要したが、拒否したチェさんはまたたくまに干された。1歳になる娘もいたからこれはきつかったはず。結局、『腹が減っては暮らせない』という言葉を残して自殺してしまった。チェさんの自殺は従業員の怒りに火をつけ、サムスン始まって以来という本社前の抗議デモに繋がり、結局、昨年12月に今後労組をいっさい弾圧しないことを約束させられることとなった」

 

『うちは労働組合を作る必要がないほど社員の待遇は十分』との理由から、創業者はこれまで労働組合を作らせなかったという。かつてサムスンのグループ企業に勤務していた50代の男性は、次のように語る。

 

「サムスン社内では李健煕会長のことをアボジ(お父さん)と呼ばせ、お父さんのために辛くても頑張ろうと言って、仕事をさせるんです。それでいて、労働条件などの改善を求める声はいっさいゆるさない。共産主義国家と変わりませんよ」

 

 また、女性の労働環境も悲惨極まりない。

 

「たとえ小さなミスでもすぐ解雇されます。『ひとつ取得したら、ひとつ失うのは当然だ』と上司に言われ、2人めの子供を産んだ女性従業員は暗黙裡に退職を勧告されました。1日中立ち仕事を強要された妊婦が流産した例もありました。なかには従業員を監視するスパイのような人間もいるほどです」(元女性従業員)

 

 昨年には韓国マスコミによる“ブラック報道”もあった。4月に華城工場が1934件の産業安全保健法に違反し、フッ酸を垂れ流していたことが発覚、712件で立件された。6月、サムスン電子サービスが偽装請負と違法派遣で検察当局の捜査を受けている。

 

 また、同社の下請け会社におこなったアンケート調査によれば、3人に1人の割合で週60時間以上働き、約35%が自殺衝動を感じ、うつ状態にある従業員は50%を超えたという。

 

「日本の“ブラック”より筋金が入っている」と、前出の安田氏は続ける。

 

「サムスンはほかの企業より給料はいいが、その裏では社員を非正規社員化させ、低賃金で使う。正規雇用は半分以下で、離職率は50%以上に上る。理由はパワハラ、ノルマ達成の強要など。精神的に追いつめられる社員が多い。ブラジルの工場では、1日15時間の長時間労働が問題になり、100億円の罰金が課せられたほどです」

 

(週刊FLASH 2014年1月21日号)

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