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名曲散歩/ピンク・レディー『サウスポー』のモデルは誰なのか
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.02 16:00 最終更新日:2020.05.02 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。
今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロはピンク・レディーの『サウスポー』。アラフィフの女性はイントロと同時に踊っちゃうよね。
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マスター:実はこの曲、もともとはミディアムテンポで、歌詞も違うものだったんだって。担当ディレクターが「これじゃ勢いが止まっちゃう!」と、阿久悠・都倉俊一のコンビに書き直しをお願いして、突貫工事で作られたものだそうだよ。
お客さん:それで140万枚を売り上げたんだから、さすがだね!
マスター:現実と虚構がごちゃまぜになったピンク・レディー独特の世界観、もちろん「背番号1のすごいやつ」のモデルは知ってるよね?
お客さん:当然だよ! 世界の王、王貞治に決まってるじゃない!
マスター:そう、王さんはこの歌が発売された前年に756号の世界新記録を打ち立て、社会現象を巻き起こした。
お客さん:なんたって国民栄誉賞の第1号ですよ!
マスター:作詞の阿久悠さんは、王さんから「どうもありがとう」とお礼を言われたそうだよ。ところで、サウスポーのモデルは誰か知ってる?
お客さん:あの頃のサウスポーといえば……江夏豊!
マスター:それが違うんだな。モデルは、太平洋クラブライオンズの永射保(ながいたもつ)。
お客さん:左のアンダースロー! あの永射か! そういえば振り付けもアンダースローっぽい!
マスター:1977年のオールスター戦で、永射投手が王選手から見事な三振を奪った姿にインスパイアされたそうだ。ちなみに永射投手は引退後、北九州でスナック「サウスポー」を経営していたこともある。ただ、残念ながら2017年、肝臓ガンを患い63歳で亡くなったんだ。
お客さん:若かったのに残念だねえ。
マスター:ピンク・レディーは、阿久悠の視点、都倉俊一の視点、振り付けの土井甫の視点と、掘れば掘るほどいろんな秘話が出てくるよね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中(※現在はコロナの影響で当面の間お休み)
参考:『昭和40年男』(クレタパブリッシング、2019年7月増刊号)/阿久悠『歌謡曲の時代 歌もよう人もよう』(新潮文庫)