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名曲散歩/『センチメンタル・ジャーニー』松本伊代のキャッチフレーズは…
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.06.28 16:00 最終更新日:2020.06.28 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは松本伊代の『センチメンタル・ジャーニー』、この頼りない歌声が逆にいいんだよねえ。
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マスター:伊代ちゃんといえば、1981年『たのきん全力投球!』(TBS系)で、田原俊彦の妹役としてデビュー。そこから、ロッテ、大塚食品、牛乳石鹸など大手のCMに次々と起用されて、その年の10月、ついに満を持してのレコードデビューだ!
お客さん:すでに知名度は十分だったよね。とはいえ、歌詞に名前と年齢が入っていたのはインパクトあったなあ。
マスター:作詞した湯川れい子から歌詞が届いたときは、伊代ちゃん自身もびっくりしたそうだよ。
お客さん:だろうね! でも天真爛漫な伊代ちゃんにはすごく合っていたと思う。
マスター:余談だけど、当時のアイドルには必ずキャッチフレーズがついていた。伊代ちゃんは「瞳そらすな僕の妹」。トシちゃんの妹役で、実際に松本家の次女だったのかな。
お客さん:なるほどね、他には?
マスター:有名なところでは中森明菜の「ちょっとエッチな美新人娘」。
お客さん:「美新人娘」とかいて「ミルキーっこ」と読む。
マスター:もっとあるよー。松田聖子は「抱きしめたい!ミス・ソニー」、小泉今日子は「微笑少女」、石川秀美は「さわやか天使」。
お客さん:王道って感じだね!
マスター:ポエム風のキャッチフレーズも多かった。たとえば、薬師丸ひろ子は「ひろ子という字何度ノートに書いたっけ」、長山洋子は「僕の青春(とき)をとめる、少女がいた」、そしてご存知この方、「井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません」。
お客さん:本人がいまもネタにしてるもんね、「いまだに誰のものでもない」って。
マスター:なかにはそんなのあり? というキャッチフレーズもある。柏原よしえの「ちょっと大物」、網浜直子の「ちょっと変な女の子」、桑田靖子は「クラスで5番目に可愛い女の子」。そして、本田美奈子の「好きといいなさい!」。
お客さん:女王様か!
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『昭和40年男vol.39』(クレタパブリッシング)/『語れ!80年代アイドル』(KKベストセラーズ)