セクシー女優にとって避けて通れない「家族」の問題。そんなセンシティブなテーマに、正面から取り組んだ書籍『AV女優の家族』が話題だ。 レジェンド女優の当真ゆきが、知られざるエピソードを語る――。
当真ゆきは、高校在学中に妊娠・結婚を経験するも、出産わずか2カ月後にDVが原因で離婚。娘を育てるため、新潟から上京した。
【関連記事:板垣あずさ「AV家族バレの瞬間」カミングアウトに激怒した姉】
「交通費の2万円だけ持って出てきたんですよ。母親に『いったん子供を置いていって、生活が落ち着いたら迎えに来なさい』って言われて、単身、上京しました」
東京に来てすぐ、エロ本に載っていたAV女優の求人広告を見て、都内にあった事務所に面接に行くことに。
「私、エロに対する特別な感情みたいなものがなかったんです」
「親に言えない仕事はしない」という気持ちが根本にあったため、仕事はデビュー前にすべて、親に話したという。
「『まわりの誰が批判しても、両親だけにはちゃんとわかっていてほしいし、自分がすることを理解してほしい』って言って。そうやって親が『NO』と言えない状況を作ってから、『AVデビューします!』と宣言しました(笑)」
兄からは、「我が家の恥だ」と猛反対を食らったが、父親は何も言わなかった。
「うちの父、病気でずっと入院していたんです。人工呼吸器をつけているので、文字盤を使って会話をするんですが、我が家は、すべての決定権が父親にありました」
母親は、娘の仕事についてどう受け止めていたのか。
「母はおそらく、父の病気のこととか、一家を養っていかなきゃならないとか、いろいろありすぎて、私がAV女優になるくらいじゃ、なにもビビらないというか。めっちゃ強いんです。だから母のことは、めっちゃ尊敬してます」
風俗嬢とAV女優を掛け持ちしながら働き、生活が落ち着いたところで娘を引き取った。そして、娘が小学6年生のとき、今度は娘にAV出演がバレることになる。
「突然、LINEに娘から『これ、ママだよね?』って、写真が送られてきて。めっちゃ焦りましたね。『もう、話さないとダメだな。ちゃんと話せばわかるかな』と思って、その日、帰ってすぐ話しました」
娘のつむぎは、このときのことを、こう振り返る。
「ママが否定してきたら喧嘩かな、と思ったんですけど、あっさり『そうだよ』みたいな感じだった」
つむぎは高校を中退後、リフレの仕事などを経て現在は、いちゃキャバ嬢として働く。彼女が仕事を始めて、気づいたことがあるという。
「つらいこともあるじゃないですか。内容的にも、誰でもできることじゃないのを、ずっと長くやってる。しかも、それは私を育てるため。『ありがとね』って思いましたね。そっからまた、お母さんと仲よくなりました」
母は現在、デリヘルで働き、娘の働く店を自身のお客に紹介することもある。良好な親子関係を築いているようだ。
とうまゆき
1983年3月15日生まれ 高校3年生で妊娠、女児を出産するも数カ月で離婚。子供を養うため上京。グラビアモデル、格闘技のラウンドガールを経て2003年にAVデビュー。2007年に引退し再婚するも、数年後に離婚、2011年にAV復帰
取材&文・寺井広樹
※『AV女優の家族』は光文社新書より発売中
(週刊FLASH 2020年7月21日号)