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名曲散歩/わらべ『めだかの兄妹』欽ちゃんプロデュース料はゼロ
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.16 16:00 最終更新日:2020.08.16 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは、わらべの『めだかの兄妹』。『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)から生まれた「新しい時代の童謡」だったね。
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マスター:「わらべ」の3人ってどうやって誕生したか知ってる?
お客さん:のぞみ(高部知子)・かなえ(倉沢淳美)・たまえ(高橋真美)だよね、知らないなあ。
マスター:もともとは、かなえちゃんが『週刊欽曜日』のオーディションに受かったことが始まりなんだ。
お客さん:『週刊欽曜日』といえばTBSなのに……。
マスター:受かったはいいけど、欽ちゃんは『欽曜日』のメンバーとのバランスに納得がいかず、かなえを『欽どこ』にスライドさせた。それで、急遽、同い年ののぞみとたまえをキャスティングした。
お客さん:「視聴率100%男」だからこそできる荒業だね!
マスター:ちなみに欽ちゃんは、わらべのプロデュース料を1円ももらっていないという。
お客さん:あら、なんで?
マスター:「お金をもらうと運が逃げて、番組が低迷するから」と言って、受け取りを断固拒否したという。欽ちゃんは「運の法則」といって、努力や才能より「運」が大事という考えの持ち主だから。
お客さん:運かあ。
マスター:実は、『めだかの兄妹』の編曲は坂本龍一なんだよね。
お客さん:意外だねえ!
マスター:欽ちゃんが「売れっ子の編曲家は運を使っているので、知らない人にして」とレコード会社の人に頼んだら、めぐりめぐって坂本龍一に依頼が届いたという。結果、88万枚を売り上げる大ヒットとなった。
お客さん:欽ちゃんは坂本龍一のことを知らなかったんだ。それもまた運だね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『昭和40年男 Vol.25』(クレタパブリッシング)/萩本欽一『マヌケのススメ』(ダイヤモンド社)/テレビ朝日『中居正広の怪しい噂が集まる図書館』(2012年1月3日)