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名曲散歩/わらべ『もしも明日が…。』見栄晴はジャンケンで決定
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.23 16:00 最終更新日:2020.08.23 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは、わらべの『もしも明日が…。』だね。『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)から生まれたヒット曲!
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マスター:そう。97万枚を売り上げ、オリコンでも6週連続1位をマーク。1984年の年間チャート1位を記録した。
お客さん:のぞみ(高部知子)が「ニャンニャン事件」で降板した後、かなえ(倉沢淳美)とたまえ(高橋真美)が2人で歌ったんだよね。
マスター:そう、ただ正式なユニット名は「わらべ with KINDOKO FAMILY」で、レコードジャケットにもそう書かれている。実はバックコーラスを真屋順子、見栄晴、小堺一機、関根勤らの番組出演者が務めていたんだ。
お客さん:緊急事態を全員一丸で乗り切ったんだね。
マスター:最高視聴率42%を叩き出した『欽どこ』は10年間続いて、この番組からはスターも数多く生まれている。
お客さん:なかでも見栄晴は、いまも見栄晴として芸能界で生き残っているよね。
マスター:そんな見栄晴が『欽どこ』レギュラーに選ばれたきっかけは「ジャンケン」だったって知ってる?
お客さん:ジャンケン?
マスター:見栄晴役の最終オーディションに2人が残ったそうだ。そこに欽ちゃんが現れて、おもむろに2人にジャンケンをさせた。
お客さん:勝ったのは、見栄晴?
マスター:そう、見栄晴。欽ちゃんは「うんわかった、帰っていいよ」と合否を告げずに2人を帰らせた。そしたらその夜、見栄晴の家に合格の電話が来たという。努力や才能もさることながら、「運」を重要視する欽ちゃんらしい決め方だよね。
お客さん:すごいエピソードだなあ。
マスター:ただ、後年、見栄晴が欽ちゃんに聞いたところ、本当は一目見たときから合格を決めていたという。のちのち見栄晴が芸能界で生きていく際、話のネタになるだろうってジャンケンさせたんだって。
お客さん:そこでしっかりと勝ちきる見栄晴の運もすごいよね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『昭和40年男 Vol.25』(クレタパブリッシング)/萩本欽一『マヌケのススメ』(ダイヤモンド社)/スージー鈴木『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)/TBSラジオ『伊集院光とらじおと』(2019年5月20日)