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佐藤優が熱く解説「サラリーマン処世術はVシネマに学べ!」

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.09.12 16:00FLASH編集部

佐藤優が熱く解説「サラリーマン処世術はVシネマに学べ!」

 

「サラリーマンは、Vシネマから多くのことを学べます」
“新・知の巨人” こと作家の佐藤優氏は、熱心なVシネファンであることを告白し、そう語った。

 

 1989年に東映がスタートしたVシネマ。現在は、ソフト販売やレンタルを主戦場とする作品のことを広く指す。その多くが、任侠・ヤクザものだ。

 

 

 レンタル店の減少などで一時衰退したが、NetflixやAmazonプライムといったネット配信の波に乗り、再び人気を呼んでいる。佐藤氏もハマる、Vシネマの世界とはーー。

 

 佐藤氏がまっ先にすすめたのが、『日本統一』(2013年~)。40作を超える人気シリーズで、横浜の不良で

 

ある氷室蓮司(本宮泰風)、田村悠人(山口祥行)が、日本最大の任侠団体「侠和会」の盃を受け、腕と度胸でのし上がっていく物語だ。

 

 2人を引き上げたのが、小沢仁志演じる「侠和会」幹部の川谷雄一。川谷は氷室たちの活躍もあって、会長の座を工藤雅信(白竜)から譲り受ける。

 

「この作品は、ヤクザ社会を舞台としながら、『実力主義の会社』を描いているようにも読み取れるんです。もともと不良だった新参者の2人が、力があるから評価され、どんどん地位を上げていく。すると先輩たちが『座布団(役職、ポジション)も下のくせしやがって』と嫉妬し、抗争に繋がっていく。

 

 人事抗争、男の嫉妬、出世争い、実力主義がもたらす弊害、身の処し方……。会社組織そのものです」

 

 現在、大ヒット中のテレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)にも、共通する構造だ。

 

「土下座で片がつく『半沢』と違って、Vシネマには、地上波では見られない暴力シーンも描かれます。『人間って、極端まで行くとこうなるよな』と、よりリアルに理解できます」

 

 ライバル組織との関係もリアルだ。

 

「抗争相手の丸神連合とは、現場で頑張っている人間同士に共感が生まれます。こういう雰囲気は、ビジネスの世界でもありますよね。組織はトップで決まることも、よくわかります。

 

 丸神連合系の組長は拉致され、『さあ殺せ』と虚勢を張るも、どこかふにゃふにゃしている。トップがそうでは、組織は崩れていきます」

 

 佐藤氏のおすすめ作品は、ほかにもある。『フィクサー』(2014年)は、戦後最大の経済事件「イトマン事件」をモデルにした実録ものだ。

 

許永中がモデルの主人公を、白竜が演じた(『フィクサー』より/販売・オールインエンタテインメント)

 

「在日韓国人である許永中がモデルの趙優大(白竜)が、幼いころ差別やいじめを受け、『見返してやる』と、裏社会のフィクサーになっていく過程を描いています。

 

 レバノン出身のカルロス・ゴーンも、差別や偏見にふれながら高みへ昇っていったわけで、許永中とゴーンに共通するメンタリティが見えてきます」

 

『闇金の帝王』(2007年)は、闇金業界の実態をリアルに描いた作品。主演は小沢仁志だ。

 

「手形のパクり方や、“型にハメる” やり方など、複雑なカラクリを学べます。広域団体への “挨拶” の仕方もリアルに描かれていますが、これはロシアの情報機関が、日本政府に対してとる動きとも重なります。インテリジェンスの世界にも通じる作品です」

 

『実録 無敵道』(2007年)は、新宿にある “駆け込み寺” の話だ。さまざまな悩みを抱えた人たちの相談に乗るのが、小沢仁志演じる「無敵堂」の代表。作品に登場する警察官やパトカーは本物だ。

 

「実際の事件の現場で、パトカーをゲリラ的に撮影したものだそうです。Vシネマは低予算ですが、それが逆にリアリティを生んでいます。

 

“壊れた” 人がいろいろ出てくるので、社内の人間関係の参考にもなります。Vシネには、そういう使い勝手があるんじゃないかなと思いますね」


さとうまさる
1960年生まれ 東京都出身 同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア日本大使館、国際情報局分析第一課などで情報活動に従事したのち、2005年より作家として活躍する

 

(週刊FLASH 2020年9月15日号)

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