リモート単独公演後、3人が再会したのは、7月に入ってからだった。そのときからコントをする際の「3人の距離」に、変化が起きたという。
飯塚「作り方、演じ方には大きな変化はなかったのですが、『ソーシャルディスタンス』を意識して、動きを考えるようになりました。
コントをするときに人との距離があまり近すぎても、観ている人に不安を与える。必要以上にくっつきすぎないということは意識しました。ネタの中で、誰かがハケようとするのを止めるとき、肩に触れずに手を広げて止めるなど、動きに変化が出ました」
角田「それでも、練習中に熱が入り興奮してくると、距離が近くなっちゃうんです」
豊本「距離を保ちながらハケようとすると、止める人も手を広げて同じ歩幅で下がる。段取りっぽい動きが多くなってしまい、難しかったですね」
飯塚「『距離をとったから、おもしろくなった』とか、新たな発見は正直なかったです。でも、再会して『やっぱり角田さんも豊本さんも、おもしろいなあ』と再認識しました。3人で一緒にコントをやるのが、いちばん楽しいですね」
9月、万全の新型コロナウイルス感染予防対策を取り、東京03は単独公演『ヤな塩梅』に臨んだ。
飯塚「お客さんの数を半分に減らしたのですが、熱量がまったく同じだったのが、ありがたかったですね」
角田「お客さんが少ないので、笑い声とかは低い想定をしていたのですが、すごい受けてくれた。ノれましたね」
豊本「皆さんマスクをしていたのに、大きな笑い声が聞こえて嬉しかったですね」
飯塚「東京と大阪の単独公演のコント7本は、すべて新ネタ。単独公演は、自分たちの冠番組ぐらいの気持ちで毎年、新作コントのみで勝負しています」
最近はソロ活動も充実している3人。そのなかでもドラマ『半沢直樹』(TBS系)での角田の熱演は、大きな話題となった。
飯塚「角田さんは、トリオを結成する前から、『この人は役者さんとして大成する』と思っていました。世間に認められるまで、なかなか時間がかかりましたね。
“『半沢直樹』での角田の演技が評判”というニュース記事を読んだときには、本当に嬉しくて涙が出ました。これで僕の役目は終わった、と……」
飯塚自身は、10月20日スタートの連続ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)に出演。「ヒロインを温かく見守るコンビニ店長」役を演じる。
豊本「これだけ四六時中お笑いのことを考えていて、100%お笑いのために力を注いでる飯塚さんが、ドラマではどのように見えるのか、単純に楽しみなんです」
角田「飯塚さんは、自然体でうまい人。コントでも、笑いの前の自然な演技がいいんです。僕の中では、『とうとう飯塚さんに、大きなドラマの仕事が来たか』という感じ。
ただ、コントのように主演の森七菜さんを叩かないよう、気をつけてほしい。いつものノリで、『バシッ』といっちゃいそうですから。以前、企画で堺雅人さんとコントをやったとき、堺さんの頭を叩いちゃった“前科”があるんですよ(笑)」