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堀江貴文、アイスランドで考える/ワサビ栽培に高い投資価値が
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.11.25 16:00 最終更新日:2020.11.25 16:00
アフリカからヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、そして日本各地を旅してきたホリエモンは、現地で何を見て何を考えたのか、今回はアイスランド編だ。
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2016年の夏、アイスランドのレイキャビクを訪ねた。僕は実は、アイスランドとは縁がある。現地で天然マグロの輸入ビジネスを手がける知人がおり、その人のマーケティングに協力している関係で、アイスランドの名誉広報官に任命されていたのだ。
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首都・レイキャビクでは、ワサビ栽培のベンチャーを視察した。もとは地元の大学生が考えたビジネスらしい。2020年のいまでもその会社は、社名を変えて残っていて、うまく事業化に成功している。
アイスランドはヨーロッパ有数の水に恵まれた国だ。蛇口をひねると天然水が出てきて、ミネラルウォーターを買う必要がないという。良質なワサビづくりには、きれいな水が欠かせない。同じく水に恵まれた日本同様、アイスランドはワサビ栽培にうってつけの国なのだ。
日照時間が少ないのが難点だが、先のベンチャー企業はLEDライトでワサビを促成栽培する技術を持っていた。ヨーロッパ内の日本食レストランで流通しているワサビの大半は日本からの輸入品となり、高額にならざるをえない。
でもアイスランド産のワサビを安価で量産できれば、大きなビジネスチャンスとなる。アイスランドはヨーロッパ全域とFTA(自由貿易協定)を結んでいるので、輸出し放題なのだ。ワサビ栽培ビジネスへの投資価値は、かなり高いと思う。
アイスランドでは、豊富な水資源を活かした、水力発電が発達している。水力発電7割、地熱発電3割のエコ電力で、国の電力をほぼ賄えているのだ。ローコストで大量の電力を供給できるため、ヨーロッパのなかでは最も電力料金が安い。電力を使う事業の発注が、周辺国から集中しているそうだ。
とりわけ、成分の分解に電力を大量に必要とするアルミニウムの精錬は主力産業だ。EU圏内に流通しているアルミニウムの大部分は、アイスランド産だと言われる。
データセンターで膨大な電力を消費する、ビットコインのマイニングでも、アイスランドはリードした。気温が低く、センターの冷却にコストがかからない利点もあった。人口35万人程度の小国だが、水質や気象条件を最新テクノロジーと掛け合わせて、堅調な成長を遂げている国だ。
アイスランドは金融ビジネスでも成功しており、2000年代中盤には、世界で最も景気の良い国とも言われていた。
しかし2008年のリーマンショックで、独自通貨のアイスランドクローナの資産価値が半減した。慌ててアイスランド政府は、イギリス人が大量に預金している国内の銀行口座を凍結した。
憤ったイギリスは、なんとアイスランドを「テロ支援国家」として認定してしまった。そして強引にイギリス国内にあるアイスランドの銀行の資産を差し押さえた。イギリスとしては、金融で調子に乗っていたアイスランドを、快く思っていなかったのだろう。
それにしてもテロ国家という扱いはひどい。アイスランドは当然、イギリスに激怒した。いまも両国関係は険悪だ。2016年のサッカーヨーロッパ選手権で、イングランドに勝ったアイスランドが国を挙げて狂喜したのには、そういった複雑な事情が関係している。
アイスランドは独自通貨の強みが逆に効き、ユーロ危機に巻きこまれず、経済を盛り返している。イギリスはブレグジットの余波もあって、財政は厳しくなりそうだ。
一都市ぐらいの規模の小国が、ヨーロッパで埋もれず、独自の戦略で大国のイギリスと同等に渡り合っているのは興味深い。国境は消えていっても、国家同士の対立感情など、交わらないものはある。アイスランドの旅からは、世界の実相を体感できた。
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以上、堀江貴文氏の新刊『それでも君はどこにでも行ける』(光文社)をもとに再構成しました。新型コロナウイルスにより海外渡航が制限されるなかでも、人はマインド次第で「どこにでも行ける」。コロナ禍を生き抜くヒント満載の1冊です。
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