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「動く実物大ガンダム」を造った男たち…秘密は内臓モーター30個の同時制御

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.12.19 06:00FLASH編集部

「動く実物大ガンダム」を造った男たち…秘密は内臓モーター30個の同時制御

(C)創通・サンライズ

 

 12月19日から、横浜・山下ふ頭に建造された新施設「ガンダムファクトリーヨコハマ」にて、“実物大”の全高18mの動くガンダム「RXー78F00」が、一般公開される。

 

 11月30日、メディアに公開された際は、横浜港に臨む格納庫「ガンダムドック」で、実物大ガンダムがカウントダウンとともに起動。ドックに設置された3本のメンテナンス用デッキが開き、ガンダムが頭部・両腕・腰部・脚部をアニメそのままに、自在に動かす。

 

 10本の指までもが1本ずつ滑らかに動き、起動確認を終えたガンダムは、腰を屈め発進姿勢に! 誰もが夢にすぎないと思っていた実物大ガンダムが、実際に動いたのだった。

 

「開発費は超高額ですが極秘です」と語る宮河氏

 

 世界初となる動く巨大ロボットは、どのような経緯で開発されたのか。サンライズ前代表取締役社長で、バンダイナムコエンターテインメント代表取締役社長の宮河恭夫氏は、この壮大なプロジェクトの始まりをこう語る。

 

 

「2009年、『機動戦士ガンダム』の生誕30周年で東京・お台場に実物大ガンダムの立像を造り、44日間で400万人以上の方に見ていただきました。それで、40周年も何かやろうと、指折り数えたら、オリンピックと同じ年だったので、派手なことをやりたかったんです」

 

 宮河氏には、「とにかくガンダムを動かしたい」という思いがあった。

 

「2014年から『一般社団法人ガンダム グローバル チャレンジ』をつくり、人材を集めて世界中からアイデアを募集しました」

 

 だが、動く実物大ガンダム構想は、当初「実現不可能」と周囲に呆れられたという。

 

「1.3mのASIMOが動いてるから、簡単に動くと思っていたら、学者や技術者には『18mのロボットが動くのは、6階建てのビルが動くのと同じで不可能』と呆れられましたね(笑)」

 

 それでも“動く実物大ガンダム”の計画はスタートした。

 

 プロジェクトに初期から参加しているクリエイティブディレクターの川原正毅氏は、こう語る。

 

「30周年のお台場のガンダムのとき、富野由悠季監督(ガンダムの生みの親)から『腕の1本くらい動かせ』と言われたのです。今回は当初から動かす前提で企画を開始しました。まずは“動くガンダム”を造るための技術者を集めるのに、いちばん苦労しましたね」

 

 このプロジェクトで川原氏はおもにガンダムのデザインを担当している。「実際に動かすためのデザイン」に苦心したという。

 

「スタッフを集めたあと、デザインと動きの検討に1年半かかっています。当初は1/48のメガサイズモデルのプラモデルを切り貼りしながら、動かすためのデザインを手作業で試行錯誤しました」

 

“動くガンダム”の最大の特徴は「ムーバブルフレーム的なデザイン」だと川原氏。

 

「お台場の立像は、基本立っているだけなので、ベースを作り、芯材に外側の形を造るという彫刻的な造り方で建造されました。今回は、動くためのモーターを内蔵したムーバブルフレームにFRPの装甲をつけていくという造り方です。ガンダリウム合金(ガンダムに使われている架空の金属)は使えませんでした(笑)。

 

 自力で動くため、モーターのパワーやトルクを計算し、その実現のためにボディを限界まで軽量化する必要がありました。さまざまな要素を考えながらデザインしました」

 

“動くガンダム”のフレームの計画設計やプロジェクトの工程などを担当したのは、テクニカルディレクターの石井啓範氏だ。日立建機で2本の腕を持つ重機「アスタコ」などを開発した日本有数の技術者で、このプロジェクトに2018年から参加している。

 

 じつは石井氏、制作に専念するために、日立建機を退職している。

 

「もともと日立建機に入社したのは、『巨大ロボットを作る技術を学びたい』という理由でしたから。退職に同僚たちは驚いていましたが、『“動くガンダム”を造る』と知って、納得していましたね」(石井氏)

 

 石井氏が開発の苦労を、こう語る。

 

「この関節をこう動かすためには、どのモーターが必要か、またそれをどう組み合わせ、どうガンダムのデザインと整合性をとるか、日々試行錯誤でしたね。

 

 たとえば今回のガンダムは、肩にホイールがあります。その場所に腕を動かすモーターがあるので、それを隠すためにホイールをデザインしています。そういった配慮が全身にあります」

 

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