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『M-1』決勝の「錦鯉」に“第7世代の真逆”の運気ありとプチ鹿島
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.20 18:05 最終更新日:2020.12.20 18:05
12月2日、『M-1グランプリ』準決勝の大トリで登場して爆笑をかっさらい、一気に決勝進出を決めた錦鯉。芸歴26年めの長谷川雅紀(49)と、同21年の渡辺隆(42)。
彼らの結成当時からイベントなどで共演し、多くの地下芸人を取材した『芸人幸福論』(ベストセラーズ刊)の著書もあるプチ鹿島(50)に話を聞いた。錦鯉がここに来てブレイクした秘密は、なんなのだろうか。
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「錦鯉は昔から実力派でしたが、2020年、いくつもの要素がハマった感じですね。長谷川くんはいい意味で『隙だらけ』なんですよ。後輩でもガンガン突っ込める脇の甘さ。誰でも近づける親しみやすさ。それはもう、キャラを超えた、天性の “愛され力” なんですよね。
今は、芸人も隙がない立ち居振る舞いを求められるじゃないですか、SNSでもなんでも。そのなかで、あんだけ隙があるっていうのはスゴい。息子くらいの年のやつにいじられることをよしとして、受け入れたわけでしょ。
売れるタイミングが50歳前っていうのもおもしろい。おっさんであることって、M-1みたいなお笑いの最先端では、どう考えたってマイナスじゃないですか。それが49歳にまでなると武器になる(笑)。
これがアラフォーなら、“リアルさ” しかないと思うんですよ。そこにきて、アラフィフのもつ破壊力。お笑いって、いつマイナスがプラスに転じるかわからないですね」
実際、東京ホテイソンのたける(25)は、決勝進出インタビューの中で、自らの父親と長谷川が同い年であると明かしている。また、決勝進出が決定した瞬間には、金属バットの友保隼平(35)が渡辺に抱きつき、ぺこぱの松蔭寺大雄(37)はガッツポーズ。若い芸人仲間に愛されているのが、錦鯉なのだ。
「もうひとつ、錦鯉の躍進はソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)という事務所のすごさでもありますよね。本人たちが言ってたんですが、『バイきんぐさんをお手本にして “2カ月でネタ10本” を守り始めたら、ネタが溜まり始めた。ザコシ(ハリウッドザコシショウ)さんに、もっとバカキャラを極めろと言われた』と。
バイきんぐやザコシのアドバイスも的確ですが、SMA自体が、どこかで一度失敗しているセカンドキャリア芸人を集めている事務所だから、緩やかに見えてみんな必死で、人のネタの寸評で喧嘩してる。たんに『キャラが強い芸人が集まってる事務所』みたいに思われてますけど、実際は、お笑いに対して真摯な場なんですよね。
みんな、なんとかなりたいから、キャリアは関係なくお互いにアドバイスも批評もして……理想的ですよ。プロレスでいうところの、『道場論』が機能してるんです。自分たちで努力する、他人の努力も手伝うって感じ。ここ何年かSMAの芸人は、賞レースで結果も出しています」
SMAの稽古場で切磋琢磨する、セカンドキャリア芸人たち。長谷川も、本誌の取材に、こんな “心配” を吐露していた。
「バイきんぐもアキラ(100%)もザコシショウも、優勝したりするのは、みんなけっこういい年なんですよ。我々の事務所はみんな40歳オーバーで、余計に辞められなくなるんですよね。『俺にもチャンスがあるんじゃないか』『まだイケる!』って(笑)。
僕が今、49歳なんで、これで『M-1』で行っちゃうと、ほかが『まだまだイケる!』ってなって、誰も辞めねえんじゃねえかなって。悪い影響になっちゃう(笑)」
プチ鹿島は、「アラフィフ芸人は第7世代とも連動している」と指摘する。
「第7世代と、セットになってるのかもしれない。真逆ですから、対比としてね。若い第7世代が注目されれば、49歳まで粘ったベテランも注目される。錦鯉は、その運も持ってますよね。
そういう意味でもちょうど熟したいい時期、錦鯉の “旬” だったのかもしれないですね。これも芸人の持つ運の強さ。いろんなピースがハマり始めたんでしょうが、そればっかりは計算できませんから。
正直、最初はもっと怖い人達なのかなと思ってたんですよ。まさのり(長谷川)なんて、冷静に見れば顔、怖いし(笑)。でも、そうじゃなかった。『M-1』の結果がどうあれ、タレントとしてはすごいブレイクすると思うんですよ。伸びしろに関しては、“本命” です。
中年どころか、老後のネタ番組とか出られそうですしね。人間ドックとかの健康番組。いろんな病気が見つかって、それがまたネタになる(笑)。情報系バラエティーの即戦力ですよね」
間違いなく、ブレイク候補筆頭の錦鯉。アラフィフの逆襲は、今始まったばかりなのだ。