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名曲散歩/山本コウタローとウィークエンド『岬めぐり』の岬は三浦半島だった

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.31 16:00 最終更新日:2021.01.31 16:00

名曲散歩/山本コウタローとウィークエンド『岬めぐり』の岬は三浦半島だった

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん:お、このイントロは山本コウタローとウィークエンドの『岬めぐり』。当時の若者はこれをマネしてバスに乗ったんだろうなあ。

 

 

マスター:1974年の大ヒット曲。失恋の傷をいやすため、男性が旅に出るストーリー。本来、悲しい歌なのに、なんだか明るいんだよね。

 

お客さん:この頃の山本コウタローと言えば……。

 

マスター:1970年、ソルティ・シュガーとして『走れコウタロー』でミリオンヒットを飛ばしたあと、バンドを解散。それなりに音楽活動を続けていたんだけど、次が見えない状態だったという。

 

お客さん:低迷していた時期があったんだね。

 

マスター:そんなとき、売れっ子作詞家の山上路夫に詞を依頼したところ、『岬めぐり』が届いた。すると、ぱっとメロディーが浮かび、曲の完成までわずか20分だったという。

 

お客さん:まさに運命的な詞との出会いだったんだ。ところで、『岬めぐり』の岬って、どこなんだろうね?

 

マスター:山本コウタローがのちに山上路夫に聞いたところ、「三浦半島だよ」と言われたそうだよ。

 

お客さん:意外に “安近短”! 東京からなら日帰りでめぐれる岬だ!

 

マスター:実際に『岬めぐり』は京浜急行の三浦海岸駅で入線メロディとして使われている。以前は三崎口駅でも使われていた。

 

お客さん:JR蒲田駅の「蒲田行進曲」みたいなやつね。

 

マスター:ただ、山上路夫は他のインタビューで、「伊豆や渥美半島など全国の岬を歩き、それらの総合的なイメージが時間をかけて発酵してできた」とも答えている。けれど、三浦半島の人たちにとっては、もう立派なご当地ソングだね。

 

お客さん:品川から快特に乗って1時間で行ける岬、意外な場所だったねえ!

 

 おっ、次の曲は……。

 

文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考:朝日新聞2017年7月1日

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