2014年に前がSMAに入り、カンカンとのコンビが結成される。
前「SMAだけは絶対行かんと思ってたんです(笑)」
カン「その当時はね。芸人の墓場って言われてたから」
前「まだ行かんでええやろって正直思ってたんで。2014年にフリーになってから、カンカンとトークライブをやったんです。そのときまで僕らはボケ方とか、前への出方とか、キャラが被ってるから、コンビ組んでも絶対揉めると思ってた。でも、やってみたらぜんぜん違った」
カン「考え方から中身、性格、戦い方が違うなと。共通点はもちろんあったので、それをネタにすると、むしろしっくりくるなって。そうしたら『M-1グランプリ』が2015年に復活したんです」
前「調子乗って出たんですよね。手応えはあったんですけど、2回戦で落ちた」
カン「でも、結構ウケたしもうちょっとやってみるかって。単独ライブを毎月やり始めて。10月に前がSMAのオーディションを受けて所属になり、11月にはテレビに出られた」
前「SMAの面接で『結果残すんで見ててください!』とか、吠えてたんですけど(笑)」
カン「エラい角度から言うなあと思って見てましたけどね(笑)」
前「事務所に入ったらポンポンとテレビが決まって、うまく回りましたねえ。そのころは劇団に所属してお芝居もやってたんですけど、ドラマ出演も決まって。主演女優を見に来てたドラマスタッフが、なぜか後ろでアホみたいな顔してた僕に目をつけたんですよね」
カン「アホ面のカメラマン役を探してたらしいんですよ」
前「天海祐希さん主演の『Chef~三ツ星の給食~』(フジテレビ系)に出たんです。完全にドッキリだと思いました(笑)。その現場で川口春奈ちゃんと仲よくなったんです。役者で行くつもりもないし、僕には怖いもんがなかったんです。だから、どうでもええやと思って天海さんとかエンケン(遠藤憲一)さん、春奈ちゃんにガンガン話しかけてたら、かわいがっていただいて(笑)。ほかにもCMにも出たり、SMAに所属してからお仕事の幅は広がりましたね」
カン「僕も事務所にはよく面倒見てもらってるなあと思います。大きな仕事はなかったけど、地方のレギュラーとかちょこちょこお仕事はいただいて、珍しくやめないですんだんですよ。でも扱いはずーっと無名の芸人ですからね(笑)。共演するアイドルは楽屋があるけど、僕はエレベーター前の隅っことかね。それを変えようとネタを頑張って作り始めたのが2014年で、コンビになってからもレギュラーをもらいましたし、続けてよかったですね」
コンビを組んでから、番組のオーディションも通るようになり、地上波に顔を出し始める。
前 「『東(あずま)会』っていうのがあるんですよ。東MAX(東貴博)さんとかX-GUNさん、土田晃之さん、古坂大魔王さん、BOOMERさんとか、『ボキャブラ天国』出身の先輩たちが出る演芸会。僕も毎年参加してるんですけど、古坂さんが僕らを『にちようチャップリン』で見て、『有田ジェネレーション』におすすめ芸人ってことで呼んでくれたんです」
カン「古坂さんは僕らにとって神です。そこで芸人にも注目してもらったって感じですから。さすが大魔王ですよ」
前「『にちようチャップリン』には土田さんが推してくれたんです。ありがたいですよね。アンタッチャブル柴田さんにもかわいがっていただいて、カンニング竹山さんとか、先輩にはすごくお世話になってますね。事務所をコロコロ変えてたのも、いまとなってはよかったんですよ(笑)。最近、そういうのが繋がってきてるんです。サンドウィッチマンから『「ネタパレ」見たよ、おもしろかった』って連絡が来たり、いろいろ声をかけてもらってます」
カン「そのまま引っ張ってくれたらありがたいよなあ(笑)」
前「バカリズムさんもおもしろがってくれるし、今まで20年以上、いろんなところに撒いてた“種”がブワーッと発芽してるんですよ。もうね、おっさんになってきてるんで、感謝の念がすごいんですよね、皆さんに」
カン「涙もろくもなってきてるし」
前「でも、こっからですけどね。みんな昔からの仲間が売れてるところ、ようやく僕らも“売れるお膳立て”ができたと思うんです。ここからなんとかのし上がって、みんなにも引っ張ってもらって(笑)。錦鯉がハネて、おっさんブームでもありますしね。YouTube(『全力TOKYO COOL』登録者数2540人)も、もっと頑張って。長くやってる人には必ず光が当たると信じてます。おじさんに光を! やっぱりおじさんはおもしろいなと(笑)」