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佐々木蔵之介『IP~サイバー捜査班』テレ朝が苦手な「コア視聴率」狙いにきた

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.08 11:00 最終更新日:2022.02.14 18:14

佐々木蔵之介『IP~サイバー捜査班』テレ朝が苦手な「コア視聴率」狙いにきた

 

 松本人志が言うところの「コア視聴率」をテレ朝が取りに来たのが、この『IP~サイバー捜査班』(テレビ朝日系)なんじゃないだろうか。

 

 佐々木蔵之介が京都府警に新設された「サイバー総合事犯係」の主任を演じる、京都を舞台にしたサイバー犯罪ミステリー。主人公・安洛一誠(佐々木)は、人の感情などへの興味が薄い超優秀なデジタル人間というキャラクターだ。「サイバー総合事犯係」にはプロファイラーでもある係長・平塚栄太郎(杉本哲太)のほか、人情派の新人刑事・古宮山絆(福原遥)や元捜査一課のエリート刑事・多和田昭平(間宮祥太朗)など、フレッシュな仲間も揃っている。

 

 

 先週木曜(1日)に2時間スペシャルで放送された第1話は、詐欺グループの犯人を逮捕したことがきっかけで、USBメモリーから京都府警のPCなどがすべてウイルスに感染してしまう――という事件が描かれた。視聴率は世帯平均視聴率10.3%、個人全体視聴率5.6%というまずまずのスタートだったようだ。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)

 

■49歳以下も狙ってサイバー犯罪&旬な俳優投入?

 

 制作発表記者会見の際に佐々木が、「セリフが専門用語の雨あられ、いや、もう嵐なんですよ」と語っていたように、さっそく第1話から「ソーシャルハッキング」「プロトコル」「VDI」「シンクラ端末」といったIT用語が飛び交っていた。

 

 このドラマが放送されているのはテレ朝の木曜20時の「木曜ミステリー」枠。『科捜研の女』シリーズや『警視庁・捜査一課長』シリーズなどの警察ものが揃っているが、サイバー犯罪をメインテーマにした作品は本作が初とのこと。

 

 テレ朝と言えば、『科捜研の女』や『相棒』といった警察ものや、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』のような医療ものなど、安定的に高視聴率を叩き出す人気シリーズを多数抱えている。

 

 しかし、それらの人気シリーズは「世帯視聴率」だと高水準だが、50歳以上の中高年層のファンが多い印象。そのため、いまテレビの民放各局がスポンサー獲得のために狙っているという、49歳以下の個人視聴率を対象とした「コア視聴率」では、そこまでの高水準を稼げていないという見方をされているのだ。
(※「コア視聴率」とは松本の言う暫定的な名称で、まだ明確に指標統一されておらず、その呼称や年齢はキー局各局で異なる)

 

 そういった背景があるなかでスタートしたのがこの『IP~サイバー捜査班』。従来の年齢層高めの固定客を掴みながら、49歳以下の若い層も獲得したいという思惑がテレ朝にあるのでは……と思えるのだ。

 

 まず、安定の警察ものに佐々木や杉本といった渋い演技巧者を揃え、従来のお客さんが安心して見られるような土台をしっかり築く。そのうえで、サイバー犯罪という今風のネタをテーマにし、福原や間宮といった若い層から人気のある旬な役者もメインどころに据え、新規の若いお客さんも取り込む――そんな算段が透けて見えるのである。

 

 第1話を視聴した感想としては、確かに専門用語は多用されていたものの、従来の年齢層高めのお客さんでもついてこられるように、丁寧に解説しながらストーリーを進行させていった感じ。

 

 佐々木演じる主人公はほぼ「サイバー総合事犯係」内(屋内)で推理し、遠隔で指示出しをしていたが、福原・間宮の若手刑事2人は足を使って現場におもむき、汗をかきながら捜査していた。演出はよくも悪くもアナログ的だったし、真犯人の動機は息子を殺害された母親の復讐というオーソドックスなもの。

 

 要するに、表面的には小難しいサイバー犯罪というジャンルを扱っているが、演出や物語はこれまでテレ朝が長年培ってきた人間ドラマとなっているということだ。

 

 はたして、テレ朝ドラマの年齢高めの固定ファンを満足させつつ、若い層の新規客も呼び込むという両取りができるのか? それとも二兎を追う者は一兎をも得ずとなってしまうのか? 吉と出るか凶と出るかが注目の第2話は、今夜20時から放送である。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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