■「わかな」と呼ばれるたびにドキドキしちゃう
初詣に行けなかった2020年と2021年。彼女は映画『キャッツ』で、吹き替え初挑戦ながらヒロインの声を担当し、ミュージカルの舞台も踏んだ。
そして、7月スタートのドラマ『女の戦争〜バチェラー殺人事件〜』(テレビ東京系)では、無口なデパートの寝具売場店員を演じている。
「朝ドラの『わろてんか』以来、比較的明るい役柄が続いていたので、陰のあるキャラクターは久しぶりなんです」
現在、ドラマは第1話がオンエアされたばかり。冒頭で古川雄大演じる主人公が死んでしまうなど、この先どうなるのか予想がつかない。
「私はもう結末を知っていますけど、それでも『これって、どういうドラマ!?』って思います(笑)。とにかく斬新!」
斬新といえば、主人公を取り巻く7人の女性たちの名前が、漢字は違えど演じる本人と同じなのも、見どころのひとつ。葵わかなが演じるのは “志倉若菜” で、トリンドル玲奈は “河原麗奈” 、成海璃子は “須崎利子” など、ドラマとリアルの境界線がわからなくなりそうである。
「なんだか、ドキドキしちゃいました(笑)」
というのも、ドラマなどの撮影現場では、役名で呼び合うことが多いのだという。
「最初『わかな』と呼ばれるたびに動揺してたんですが、スタッフさんから自分の下の名前を呼んでもらうことは少ないので嬉しいですね」
ドラマも映画も舞台も、その作品のためにスタッフや俳優が集まり、一丸となって作り上げたあとは、それぞれが次の現場へと向かう。
「もちろん、寂しいなと思うことはあります。でも、古川さんとは今回が3回めの共演だったり、スタッフさんのなかに久しぶりの方がいたり、お互いが自分の道を歩んでいたら、また交わる瞬間がきっとあると思うんです。だから、終わるときはいつも『行ってきます!』という気持ちです」
新しい作品に「初めまして」と入っていくときに大切にしていることは?
「自分がどういうポジションであれ、その作品のメンバーとして、誠実でありたいといつも思っています」
子供のころから物語を読むことが好きだったという彼女は、自分が物語の一部になれることが幸せだという。
「俳優というお仕事は、実際には存在しないけど、いるような気がする人物になれるところが最大の魅力ですね」
10代の終わりに朝ドラのヒロインを演じ、20代に入ってからは舞台にも挑んでいる。
「どんなお仕事でもそうだと思いますけど、自分が成長するにしたがって、ゴールって変わっていきますよね。というか、ゴールがあるのかどうかもわからない。それは、とても素敵なことだと思っています」
6月の終わりに誕生日を迎えたが、まだ23歳。
「お守りは大切にしているけど、自分自身は守りに入らないで、失敗を恐れず前に進んでいきたい」と、つぶらな瞳を輝かせた。
あおいわかな
1998年6月30日生まれ 神奈川県出身 2009年に女優としての活動をスタートし、数多くのドラマ、映画に出演。2017年のNHK連続テレビ小説『わろてんか』でヒロインを演じる。近年の出演作にWOWOWドラマW『インフルエンス』やミュージカル『The PROM』などがある
サタドラ『女の戦争〜バチェラー殺人事件〜』(テレビ東京系)は、毎週土曜日夜11時25分〜放送中
写真・中村功、テレビ東京
取材&文・工藤菊香
(週刊FLASH 2021年7月20日号)