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菅田将暉が演じた漫才師、あまりの迫真ぶりに芸歴27年の芸人が「バケモノ級」と称賛

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.29 06:00 最終更新日:2021.11.29 06:00

菅田将暉が演じた漫才師、あまりの迫真ぶりに芸歴27年の芸人が「バケモノ級」と称賛

 

 11月15日、俳優の菅田将暉さんと小松菜奈さんの結婚が大きな話題となりました。筆者は菅田さんに1度だけ取材でお会いしたことがあります。

 

 それは、菅田さんがピース・又吉直樹さん原作の映画『火花』で若手漫才師を演じたときのプロモーションで、筆者がインタビューをやらせていただきました。

 

 

 芸人が題材の映画やドラマで、演者や制作者が頭を悩ませるのは漫才シーンのリアルさです。筆者が芸人だからかもしれませんが、いつも気になるのが漫才シーンのお客さんの反応です。

 

 スベっているシーンだといいのですが、大爆笑の場面だと、どうしても「このネタの内容でこんなにウケるか?」と思ってしまい、ストーリーと関係ないところに気持ちが行ってしまいます。

 

 以前、漫才の賞レースに人生をかける芸人をテーマにした小説『ワラグル』(小学館)を執筆した小説家・浜口倫太郎さんにお話を聞いたときも、その部分を気にされていました。

 

 浜口さんは漫才のセリフを極力書かず、その漫才を見ている芸人仲間や関係者のリアクションや感想で、ウケたかスベったかを表現したのです。

 

 この手法だと読み手はお客さんの反応に気を取られなくてすみます。浜口さんは小説家になる前はバラエティ番組の放送作家だったからこそ、そういった問題もケアできたのだと思います。

 

 この問題はお笑いをテーマにしたフィクションが必ずぶち当たる大きな壁なのかもしれません。菅田さんも漫才師を演じるための役作りに苦労されたと聞きました。

 

菅田「たとえばピアニストだったら、曲に近づけて練習するとか明確に役作りができるんです。でも漫才師は、ホントにお客さんの前に立って漫才をやることでしか、役作りできない感じがしました」

 

 ほかの役と違って、特に漫才シーンは事前の役作りができないということなのです。

 

 普通、ドラマや映画だと、リハーサルからお客さんもいる状態で漫才をやり、その後、本番を撮ります。要はお客さんもリハーサルでリアクションの練習をするわけです。

 

 しかし、『火花』は本番で初めてお客さんがネタを見る状態だったそうです。それは芸人が新ネタをおろすときとほぼ同じ状況。どんなベテラン芸人でも緊張します。

 

菅田「もちろん台本はありますけど、これを自分の力も踏まえて、『どうにかせなあかん』っていう創作感はありました。それで少しでも、漫才師の感じがわかればな、と思ってやってましたね。

 

 だからずっと修士さん(2丁拳銃の川谷修士)と2人でネタ合わせをして、撮影の日には、そのネタを初めて見るお客さんがいて、その前で『ウケるかどうかわからんけどやる』っていう感じでした」

 

 漫才は、お客さんの反応によって、セリフの言い回しや声のボリュームが微妙に変わっていきます。それを理解した菅田さんは事前の役作りでがっちり決めず、本番でお客さんのリアルな反応を感じとって演技にいかしたのです。

 

 筆者は菅田さんの相方役の2丁拳銃・川谷修士さんに、菅田さんの役者としてのすごさを聞きました。

 

修士「最後の漫才シーンのときは、ネタ合わせを1回もせずに本番の撮影をしました。ラストシーンの漫才だけは板尾(創路)監督から『お互いにネタを頭に入れるだけにして、合わせなくていい』って言われたんです。

 

 だから最後の漫才の舞台まで、お互い会わないように楽屋も別にしてくれて。でも正直、ネタを合わせてないので、セリフがかぶったりしないか不安でした。でも奇跡的に一発OKで、『菅田君、すごいな! バケモノやな』と思いましたね」

 

 あまりの迫真ぶりで、芸歴27年の現役漫才師の修士さんに、バケモノだと思わせる菅田さん。今後のご活躍がさらに楽しみです。改めまして菅田将暉さん、小松菜奈さん、ご結婚おめでとうございます。

 

インタビューマン山下

 

1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人とライターの二足のわらじで活動している

 

( SmartFLASH )

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