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緒方恵美、『エヴァ』碇シンジを語る「心で起きたことをそのまま台詞に」画期的だった庵野秀明氏の演出
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.05 11:00 最終更新日:2021.12.05 11:00
新中野の路地裏に店を構える「居酒屋もんし」。家庭的なおつまみから鍋料理、主人の手打ち蕎麦まで楽しめる店だ。
「2009年から演劇集団キャラメルボックスの真柴あずきさんと坂口理恵さんの3人で朗読演劇ユニットARMsを組んでいます。公演前の稽古後は必ずここに通い、長い時間を過ごして演技の話をしていました」
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そう笑顔で語るのは声優の緒方恵美。『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役などで知られる緒方の原点は演劇だ。学生時代から役者として活動。専門学校卒業後は劇団に所属し、舞台やミュージカルに出演していた。
「腰を痛め舞台で踊ることに限界を感じていた時期に、少年を演じた私を見た方に『君の声は声優に向いてる』と言われたんです。それなら『一から声優の演技を勉強しよう』と青二プロの養成所に1年通ったんです」
緒方は1992年の声優デビューと同時に大きなチャンスを掴む。『幽★遊★白書』の蔵馬役に抜擢されたのだ。主要男性キャラの担当声優で女性は緒方のみ。当時、第二次性徴期の少年の声を、女性声優が担当するという例はなく、異例のキャスティングだった。
「収録が始まり男性声優と一緒に演技すると、私の声は収まりが悪く、現場から『もう少しなんとかならない?』という指示がありました」
“男性らしい声” の獲得のため、どの声優もまねできない方法を選ぶ。
「耳鼻咽喉科で喉を診てもらうと、私の声帯は珍しく長い声帯だったのです。声帯は弦楽器のように、短いとバイオリンのように高い音、太くて長いとコントラバスのように低い音が出るのだそう。私はレンジが広い声帯なので腹筋、背筋、横隔膜などを男性並みに鍛えれば、高音域だけでなく低音域も出せると……。収録以外の週6日ジムに通い、肉体を鍛えました」
このトレーニングによって緒方の声は変化した。
「低い声というか、声の腰が据わる感じ。筋肉の支えで、上に抜けていかない太くて強い声が確立できました」
蔵馬役でブレイクし、第3次声優ブームの中心的な存在となった。
「声優という裏方のはずが、歌を出し、声優雑誌の連載やグラビア写真集まで……。今の声優には当たり前の活動ですが、当時の声優にはそんな前例はなく、写真集の撮影にヘアメイクもスタイリストもいないという状況でした。『この環境を後輩に残してはダメだ』という思いで、事務所に意見も言い、必死で戦ってましたね。振り返ると、けもの道を一人で切り開いていたような日々でした」
( SmartFLASH )