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村上淳「60歳で “玄人” の域に」俳優としてのスケールを上げていく。虎視眈々と
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.01.30 11:00 最終更新日:2022.01.30 11:00
■父として、先輩として息子に思うこと
村上の息子は、第45回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞を受賞した村上虹郎(24)だ。2人は同じ事務所に所属している。
「虹郎と僕の人生には、へんなリンクというか運命的なものを感じる瞬間が多いんです。僕が今の事務所に入ったのが16歳で、虹郎が入ったのも16歳。虹郎のマネージャーは当時の僕の担当マネージャーと同じ人。
また、僕が『新・仁義なき戦い。』(2000年)でヒットマンを演じたのが24歳のときで、虹郎も同じ24歳のとき『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)でヒットマンを演じたんです」
そんな父親としての感慨がある一方で、息子を冷静に見つめている部分もある。
「僕からすると息子の『虹郎』ですが、映画界やエンタテインメント界の視点で見ると『二世俳優の村上虹郎』という部分もある。田舎の親戚なら『大河ドラマに出られてよかったね』ですむのですが、二世俳優としての現状からどうするかを数手先までしっかりと考えないといけない」
かつて自分がクラブの先輩から教わったように、今度は村上が先輩として俳優の後輩である息子に伝えている。
「役者としての心構えというか、誠実さを持ち、どの現場にも注意して取り組んでいかないと今後、潰れるかもしれない。そういった危うさが虹郎くらいの若い俳優の中にはあると思います。若くして潰れた同業者を山ほど見てきましたから……。
その意味で、同じ事務所にいてよかったとは思います。虹郎からもよく相談を受けますが、同じ事務所ゆえに先輩として遠慮なく助言できる部分もありますから」
相談を受けているうちに、こんなことを考えるようになったという。
「虹郎が14歳くらいのとき、ふらふらしていてアドバイスをしたことがあるんです。
そのときは役者をすすめたわけではなかったんですが『演技で誰かになり切ることによって、今の自分が明確に見えることがある』と言ったんです。虹郎はそれで俳優の道に進んだようです。それが、いまはそのまま自分への言葉になっています」
コーヒーを一口飲み、言葉を続けた。
「役を演じるには『疑う』ことも必要なんです。『疑う』ってネガティブに感じる言葉ですが悪いことじゃない。『役がなぜこんな行動をとるのか、こんな台詞を言うのか』と考える。
理解することと、疑うことを同時におこないながら役に近づいていく。これって人生に置き換えても悪くない方法だと思う。他者と、自分を知るためには」
村上自身はこれからの俳優人生をこうとらえている。
「20歳で人生を懸けるべき職業に出合えた喜びがあり、モチベーションも落ちていません。俳優として60歳から70歳の自分まで想定しています。俳優としてプロフェッショナルな部分は備わっていると思うので、60歳には『玄人』の域に達していたい。笹野高史さんとか、橋爪功さんみたいな、僕から見ると本当に玄人と呼べる俳優に、ね」
むらかみじゅん
1973年7月23日生まれ 大阪府出身 モデル活動を経て、1993年『ぷるぷる 天使的休日』で映画デビュー。『ナビィの恋』(1999年)、『新・仁義なき戦い。』(2000年)、『不貞の季節』(2000年)の3作品で第22回ヨコハマ映画祭の助演男優賞受賞。主演映画『夕方のおともだち』が2月4日公開予定
【東京會舘 ロッシニテラス】
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写真・野澤亘伸
ヘアメイク・高草木剛