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今田美桜『悪女(わる)』せっかくの “かわいいブランド” を自らブッ壊すクセスゴ演技

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.04 11:00 最終更新日:2022.05.04 11:00

今田美桜『悪女(わる)』せっかくの “かわいいブランド” を自らブッ壊すクセスゴ演技

 

 たとえるなら、今までコツコツ積み上げてきた “かわいいブランド” を、豪快なドロップキックで自らブッ壊しにかかっている感じ。

 

 なんだか今田美桜のクセがスゴいのだ。

 

 今夜、第4話が放送される今田の連続ドラマ初主演作『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)。

 

 

 田中麻理鈴(マリリン/今田)は三流大学を四流の成績で卒業したものの、運よく大手IT企業に拾ってもらった落ちこぼれ新入社員だ。

 

 一見すると明るく元気なだけが取り柄だが、そのガムシャラさと型破りな言動で周囲を巻き込んでいく麻理鈴。今は窓際部署にいるものの、実はやり手でかつては出世コースに乗っていた峰岸雪(江口のりこ)に見込まれ、出世100カ条を叩き込まれていく。

 

 そして、最初は彼女を疎ましく思い避けていた上司や先輩たちも、気づけば感化されて、一緒に殻を破って成長していくというのが毎話のフォーマットである。

 

 出世に励む動機が運命的な出会いをした先輩社員(向井理)への恋心だったり、泥臭く猪突猛進する姿や人情に訴えかける努力が報われて問題解決したりと、1990年代ドラマのステレオタイプな描き方が多用されており、古臭いと感じることもある。

 

 しかし、どこか憎めない麻理鈴のキャラクターに引き込まれ、好印象を抱くのだ。

 

■今田が演じるのはダサいおかっぱ頭で目をひんむく役

 

 麻理鈴は常に明るく元気だが、うがった見方をするとおバカで痛々しいキャラ。そんな主人公をダサいおかっぱヘアにした今田が、もともと大きな目をさらに見開いて、顔芸とも呼べるレベルのクセがスゴい表情を見せるなど、振り切って演じている。

 

 率直に言って、第1話の中盤ぐらいまでは主人公の言動がひたすらウザく感じたし、それを圧倒的なビジュアルのよさで “かわいいブランド” を築いてきた今田が演じるのは、もったいないと感じた。

 

 たとえば高畑充希や川栄李奈といった演技巧者の女優ならハマるんじゃないかと思ったが、今田がこの田中麻理鈴を演じるには荷が重いというか、かなり無理があるというのが第一印象だった。

 

 けれど第1話を観終わった頃には違和感や嫌悪感は薄れており、第2話、第3話と観ていくと、徐々に田中麻理鈴というクセの強いキャラに魅了されていくのである。

 

 今田は「福岡で一番かわいい女の子」というキャッチフレーズで脚光を浴びたことからもわかるとおり、その類まれなキュートなルックスで人気を獲得してきた。

 

 そのため彼女の見た目が入口で好きになったファンは、この『悪女』というドラマを観てコレジャナイ感を抱いているかもしれない。

 

 誤解を恐れずに言うが、ダサいおかっぱ頭で目をひんむく田中麻理鈴という役は、今田のルックスのポテンシャルを殺しまくっていると思う。見た目のかわいさの魅力が消えてしまっている。

 

 だが、それがいいのだ。

 

■“かわいい” だけの女優から脱皮しようとする気概

 

 先週放送の第3話まで観終えた頃には、演じているのが最強ビジュアルの今田美桜だったことなんて頭の片隅に押しやられており、田中麻理鈴というキャラクターを好きになっている自分に気づく。

 

 今田美桜としてではなく田中麻理鈴として見ている――これって女優冥利に尽きるのではないだろうか。

 

 これまで今田は数々のドラマに出演してきたが、どの役も彼女の美貌を損なわない役ばかりで、常に “かわいい今田美桜が演じている” という感覚はあった。画面に花を添えるのが主な役割だったように思う。

 

 けれど、今回は違う。そのビジュアルに頼らず勝負しようとしている感がある。ただ “かわいい” だけの女優から脱皮しようとする気概が、ヒシヒシと伝わってくるのだ。

 

『悪女』は日本テレビの水曜22時枠で放送されているが、実は同時間帯にフジテレビがドラマ枠を新設。間宮祥太朗主演の『ナンバMG5』が、『悪女』初回と同日・同時間帯でスタートしていた。

 

『悪女』の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)は第1話が8.5%、第2話が8.1%、第3話が7.9%と推移。一方の『ナンバMG5』の世帯平均視聴率は第1話が6.6%、コロナの影響で急遽放送された特別編が4.4%、第2話が4.9%となっている。

 

 放送時間がモロにかぶっているガチンコ勝負は『悪女』が圧勝中。今田がストロングポイントを封印して、クセがスゴい演技で振り切っていることが功を奏しているのかもしれない。

 

 ――今夜放送の『悪女』第4話と『ナンバMG5』第3話の直接対決も見ものである。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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