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『シン・ウルトラマン』にも出演の益岡徹が振り返る40年を超える役者人生「今でも現場では緊張します」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.22 11:00 最終更新日:2022.05.22 11:00
黒澤明監督の『影武者』(1980年)に足軽役で出演したときは大学4年生。大学の演劇サークルに所属していただけでまったくの無名だった益岡徹は、なぜ黒澤作品に端役とはいえ出演できたのか。
「切羽詰まって直談判をした結果です。新聞に『若き才能を求める』というオーディションの告知が載っていて、『あの黒澤監督が時代劇を撮るのか』とすぐに応募しました。
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4次審査では数千人から100人くらいまでに絞られたので『この人数なら何かの役で出演できるかな』と何もわかっていない僕は有頂天になりました。地方ロケに備えて荷造りもして『これから忙しくなるぞ』と肉体労働のバイトも辞めたんです。
ところが結果は不合格。東宝のプロデューサーさんに『バイトも辞めてしまって』と頼み込んだらエキストラで出演させてくれました」
撮影は学生演劇人にとって、あまりにも衝撃的だった。
「すべてが想像していたものと違いました。足軽が走るときに巻き上がる土ぼこりは、臨場感が出るように麦などを煎って石臼で挽いて作るはったい粉を大量に使っていました。『ここまで作り込むのか。スクリーンに映るものに “偶然” はないんだ』と驚きました」
出演したのは、信長と家康が河原で酒を酌み交わす場面。その2人の後ろを横切る40人ほどの徒士(かち)の一人だった。
「撮影が終わると黒澤監督が僕たちのところまで来てくださり『ご苦労さん、ありがとう』と一人ひとりと握手をしてくださって。嬉しかったですね」
だが、その後はエキストラの仕事も入らず食費にも事欠いた。学費も自分で捻出していた益岡が途方に暮れていると『影武者』のオーディションを一緒に受けた仲間が「スナック雑魚寝」を紹介してくれた。「僕の役者人生の原点です」というこの店が、益岡の運命を変えることになった。