現役セクシー女優が語る“AV新法”の問題点「先行きが不透明なので、実家に帰ることに」

 

「残念ながら、自宅の賃貸契約を解除して、実家に戻ることにしました。頑張ってお仕事をしながら、好きな家具をひとつひとつ揃えた、大切な部屋でした。でも、先行きが不透明な状態なまま、今の生活を維持するのは適当ではないと判断をしたんです」

 

　意気消沈した様子でそう明かすのは、セクシー女優の月島さくらさん。月島さんは、おもにTwitter上で「月島さくら＃適正AVを守る」というアカウント名義で、6月から施行されているAV出演被害防止・救済法（AV新法）の運用上の諸問題について、問題提起をし続けているAV業界人のひとりだ。

 

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　AV新法は、可決成立してからわずか4日後の6月19日に、セクシー女優の金苗希実さんがTwitterで「7月決まっていたAVの撮影が全部中止」と告白。続けて「AV新法で女優が守られるどころか仕事がなくなって現役の女優が苦しむ構図って誰得なん」と苦言を呈していた。

 

　これに対し、新法の立案に積極的に関わったとされる立憲民主党の塩村あやか議員が反応。Twitterで「決まっていた撮影が中止に？なぜ？」と、撮影中止に疑問を投げかけたうえで、「救済法は施行以前に交わした契約は有効です。まだ施行日ではないし、7月の撮影を中止にできる法律ではありません」と指摘していた。

 

「この法律は、成人年齢の引き下げで、親の同意がない契約が無効になる『未成年者取消権』も18歳に引き下げられることで、18歳、19歳のAV出演者が増えることを懸念した女性支援団体が声を上げたものです。成人年齢を引き下げた与党にすれば、法改正で10代のセクシー女優が大量発生するような事態は避けたい。そこで、女性支援団体と関係の深い立憲民主党の議員を巻き込んで、議員立法を成立させました。具体的には、AVを撮影する1カ月前には書面で契約を交わしておくこと、公表は全撮影終了の4カ月後とすること、公表後1年間は、契約の取り消しを可能とすることなどが定められています。もちろん、違反した場合には罰則も科せられます」（政治部記者）

 

　ではなぜ、月島さんの7月の撮影がなくなったのか。月島さんによれば、「出演承諾書を書くのは、当日である場合が多いから」だという。

 

「女優さんの中には、地方在住の方もいます。もともと、出演打診があった時点で、報酬や拘束日数までは当然、決まっています。共演する男優さんや、演技（プレイ）内容、本番の回数なども、細かく説明があり、撮影する中身をほぼ確定させるのです。またこの間に、性感染症の検査もあります。実際に出演承諾書を交わすのが当日、というだけです。ただ書面を交わすためだけに、地方からわざわざ東京に行くというのは、現実的ではありませんからね」

 

　つまり、慣習的に存在しない「出演契約書」を交わしてから1カ月後でないと撮影できない、と定められてしまったせいで、中止になってしまったのだ。

 

　そもそも、契約を結ぶのが撮影当日であったとしても、それ以前から撮影中に問題が起きないための、二重三重の用意がされていると言う。

 

「出演承諾書は、契約内容を声に出して読んでもらってから、本人が署名します。しかも、署名しているところはビデオ撮影します。AVの収録中は、俯瞰撮影が可能な別カメラで撮影現場を録画していますし、女優が少しでも撮影内容への疑問を口にすれば、ただちに撮影はストップします。ストップしたことで費用がかさんでも、女優の負担になることもありません」（月島さん・以下同）

 

　AV業界では、2014年に露呈した出演強要問題を契機に、業界の健全化を模索し続けていたという。18歳、19歳のセクシー女優の出現も、実際に当該年齢のセクシー女優を起用するメリットは、ほとんどないと月島さんはいう。

 

「よくあるのが、出演者の撮影当日の急病などで、代役をするケースです。私も前日に代役のお話をいただいたことはあります。しかし、この法律がある限り、こうした代役もあり得ないのです。現場がなくなれば、ほかのスタッフも報酬はありません。現場を知っている女優なら、多少、熱があるくらいなら撮影に行ってしまう可能性もあります。もし、それが感染症だったら、結果がどうなるかは明らかです」

 

　AV新法ついては、AV業界へのヒアリングが足りなかったことも疑問視されている。

 

「業界の実態を知っていれば、いちばん対策する必要があるのはまったく別のことだとわかるはずです。喫緊の課題は、違法ダウンロードされた作品がネット上で多数、流通していることや、同人AVや違法AVといった、無審査作品が流通していることです。違法ダウンロード作品が出回ってしまえば、法律で定められている『発売から5年以上経過したら、作品の販売、配信の取り消しが可能』など、何の意味もなくなってしまいますし、同人AVや違法AVにおいては、そもそも出演者の権利は、存在しないも同然の状態です」

 

　女優を守るための法律が、女優を苦しめることになっては、意味がない。

 

( SmartFLASH )