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橋本愛『家庭教師のトラコ』不気味な主人公の真の目的は「家庭を教育する」ことか
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.07.27 11:00 最終更新日:2022.07.27 11:00
突飛な言動で不気味な空気感をまといながらも、しかし真理を突いてくる主人公像は、大ヒットドラマ『女王の教室』(2005年/日本テレビ系、以下同)や『家政婦のミタ』(2011年)に通ずるものがある。
先週水曜にスタートした橋本愛主演の『家庭教師のトラコ』は、志望校に100%合格させると豪語するも、基本は不愛想で突然キテレツな行動に出る謎多き家庭教師・根津寅子(橋本)が主人公だ。
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■橋本愛は、満を持して遊川和彦作品に主演
本作の脚本家は、前述の『女王の教室』『家政婦のミタ』などの大ヒット作を生み出し、近年も『過保護のカホコ』(2017年)、『同期のサクラ』(2019年)、『35歳の少女』(2020年)といった話題作を手がける大御所・遊川和彦氏。『家庭教師のトラコ』は一見すると荒唐無稽に思える主人公像や設定なのだが、それこそが遊川氏の十八番と言っていいだろう。
一方、主演の橋本と言えば、2010年公開の映画『告白』に主要キャストで出演し、2012年公開の映画『桐島、部活やめるってよ』ではヒロインを務め、2013年の朝ドラ『あまちゃん』(NHK)で主人公の親友役を演じるなどして、注目を集めた女優。
10年ほど前に話題作に立て続けに出演していたため、2010年代にプライム帯の連ドラでばんばん主演するようになっていてもおかしくはなかったが、そこまでの大ブレイクはせず現在に至っている印象。
そんな橋本だが、『同期のサクラ』と『35歳の少女』にも出演しており、脚本との相性がいいようで、遊川作品3作めにしてとうとう主演を射止めたわけだ。
■『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造を彷彿
主人公・寅子の家庭教師としてのスタイルはかなり独特……というか異様。勧誘メールでは「どんな志望校も合格率100%! しかも、授業料はそちらが決める!」と謳っており、あからさまに怪しい。
だが、応募者が殺到しているため、寅子が面接などをおこなって指導する家庭を選別するほど。さらに
1、教育方針には絶対口を出さない
2、授業中は部屋を絶対覗かない
3、授業の日はお宅に泊めていただきます
という3つの条件を守ることが指導の条件なのだ。
そしてコスプレが趣味という寅子は、ある家庭にはメリーポピンズのような姿で現れたかと思えば、ほかの家庭には妖しくセクシーな美人教師風、また別の家庭には暑苦しい熱血教師風で登場。家庭によって格好も指導方針もガラリと変えている。
また、有名私立小学校合格を目指す幼稚園児に、寅子は消費者金融と同じ金利で1万円を貸したり、競馬場で予想させてその貸したお金で賭けたりするなど、突拍子もない課外授業をおこなうことも。どことなく『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造を彷彿させる不気味な主人公なのだ。
そんな人を食ったような言動をする遊川氏特有のキテレツなキャラクターを、橋本は好演していたと思う。
■家庭(家族)そのものを教育する教師?
謎多き寅子の目的はまだ不明なのだが、先の幼稚園児の親が「なんで授業の日に泊まられるんですか?」と尋ねたシーンがあった。その問いに寅子は「それは……家庭教師だからです」と答えていた。
たっぷりと間を貯めてから意味深長にその言葉を発していたため、寅子の言う「家庭教師」とは “家庭に訪問する教師” という一般的な意味合いではなく、“家庭(家族)そのものを教育する教師” なのかもしれない。実際、第1話では幼稚園児本人だけではなく、その両親にも “本当の幸せとは何か?” を諭すような展開だったのである。
また第1話終盤では、寅子の秘書男性が「お前の本当の狙いを知ったら、みんなどう思うだろうな」と話すシーンや、寅子がPCで「親の職業一覧」を作成し、家庭教師をした親の職業を整理しているシーンも……。指導した家庭を正しく導く以外にも、彼女なりの大義を持って、もっとスケールのデカい宿望を抱いているのだろう。
――第1話は世帯平均視聴率7.5%、個人視聴率4.3%(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)でスタートした『家庭教師のトラコ』。『女王の教室』や『家政婦のミタ』のように、社会現象を起こすほどのヒット作になれるかどうか、期待しつつ今夜放送の第2話に注目だ。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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