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『エルピス』鈴木亮平がまるで “人間社会の権化” のようで薄ら怖い…マジで闇が深ぇ

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.11.21 11:00FLASH編集部

『エルピス』鈴木亮平がまるで “人間社会の権化” のようで薄ら怖い…マジで闇が深ぇ

 

 華々しくスポットライトの当たる “光” の部分も、得体の知れない何かが妖しくうごめいているような “闇” の部分も、鈴木亮平演じるたった一人の男が体現している――。

 

 長澤まさみ主演の『エルピス―希望、あるいは災い―』(フジテレビ系)。実在の複数の事件から着想を得ているという社会派エンターテインメントだ。

 

 

 先週放送の第4話は、長澤演じる女子アナ・浅川恵那が、日本社会がはらんだ闇を前にして心を折られ、自分があまりに無力でちっぽけな弱い存在だと突き付けられた回だった。

 

 恵那は、かつて局の看板ニュース番組でサブキャスターを務めていたが、報道局エース記者・斎藤正一(鈴木)との路上キスをスッパ抜かれたことで、番組降板の憂き目に。現在は「制作者の墓場」 と揶揄される深夜の情報番組のコーナーMCを担当するだけ。

 

 そんな落ちぶれていた彼女が、番組の若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)とともに、12年前に起きた10代女性連続殺人事件に向きあい、死刑囚となっている人物の冤罪を晴らすために奔走する。12年前の事件を彷彿させる少女の遺体が新たに発見され、真犯人が野放しになっているのでは……というストーリーである。

 

■“正しいこと” でも力なき者には貫けない

 

 恵那と岸本は独自取材を進めれば進めるほど、当時の刑事たちの取り調べの方法や目撃証言などに疑問を抱くようになり、また死刑囚や被害少女の人となりを知り、やはり冤罪に違いないという確信を深めていく。

 

 恵那は上司の反対を無視して、自身が担当する番組コーナーで取材映像をゲリラ的に放送。視聴率がよく上層部からも好評だったため、2回めも放送できたが、その直後、死刑囚の再審請求が棄却されてしまう。

 

 放送と棄却のタイミングが偶然にしてはあまりにドンピシャすぎるため、恵那は水面下でなにかの “力” が働いたのではと勘ぐるが、これ以上は取材も放送もできないと無力感に打ちひしがれる。

 

 恵那は自らの正義感を信じ、突き進んでいた。しかし、いくら “正しいこと” だったとしても、力なき者には意志を貫くことができないと痛感したに違いない。それは逆に言えば、“正しくないこと” も、力を持った者の思惑次第で、平然とまかり通ってしまう。

 

■“光” と “闇” を同時に体現する鈴木亮平

 

 そんな彼女の心の隙間に入り込んできているのが斎藤だ。斎藤は一見すると快活な人格者で、仕事もデキる。冤罪を疑い、取材する恵那と岸本からの相談に快く乗り、頼もしい味方のように振る舞う。

 

 恵那はスキャンダルがきっかけで破局したため、表面的には抗いながらも、次第に斎藤に依存。再び肉体関係も結ぶようになり、現実逃避するかのように一時的な快楽に身を委ねる。

 

 だが、斎藤は、恵那たちの取材の放送をやめさせようとしたり、警察に多大な影響力を持つ大物政治家と懇意にしていたりと、明らかに裏の顔も持っていて、腹の底が見えない人物だ。恵那に自らの弱さを自覚させ、ネガティブスパイラルに陥れたのは彼のように思えてならない。

 

 このドラマで、鈴木亮平演じる斎藤が担っている役割は非常に大きい。男としての彼は、恵那の心の拠りどころとなっている “光” であると同時に、恵那を深く暗い沼に引きずり込む “闇” でもある。

 

 社会的には、テレビ局の官邸キャップという高い地位を持った勝ち組の “光” でありながら、そこまで登り詰める過程やそのポジションを守るため、“正しくないこと” に手を染める “闇” も持ち合わせているのだろう。

 

 そして、そんな斎藤という男の存在は、表向きは素晴らしい “光” をさんさんと輝かせながら、その “光” がある限り必ず生まれる “闇” も内包しているという、清濁あわせ呑む人間社会そのもののように思える。

 

 要するに、人間社会の権化のような男なのだ。

 

■戦意喪失中の長澤まさみだが、まだまだこれから

 

 今の恵那は、斎藤をとおして清流と濁流のどちらにも飲み込まれていて、思考が停止した状態になっているようだ。

 

 斎藤の最終的な目的や真意はまだ読めないが、要所要所で垣間見られる彼のポジショントークから察するに、恵那が追う冤罪事件は、闇のほんの入口でしかないように思える。その先に、日本社会の根幹を揺るがすような巨大な闇が待ち受けているのかもしれない。

 

 先週放送の第4話で戦意喪失していた恵那だが、まだ中盤回。ここから再び立ち上がり、“正しいこと” を貫くために邁進していくはずだ。

 

 そんな恵那を阻もうとするのが社会の闇であるなら、社会の権化のような斎藤ともいつしか対立するだろう。恵那は社会と戦っているわけだから、まずは目の前の “権化野郎” を変えていく必要がありそうだ。

 

 ――本作の第1話から第4話までの世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は8.0%、7.3%、6.3%、6.9%と低空飛行を続けているが、この作品の面白さはそんな数字では測れないと感じる。今夜放送の第5話からも目が離せない。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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