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佐藤蛾次郎さん急死 本誌に語っていた『男はつらいよ』への愛「30年以上、山田洋次監督の家のおせちは俺が作っている」

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.12.12 15:31FLASH編集部

佐藤蛾次郎さん急死 本誌に語っていた『男はつらいよ』への愛「30年以上、山田洋次監督の家のおせちは俺が作っている」

『男はつらいよ』の舞台でもある東京・柴又の飲食店で、インタビューに応じてくれた佐藤蛾次郎さん(写真・野沢亘伸)

 

 12月10日、俳優の佐藤蛾次郎さんが東京・世田谷区の自宅で亡くなっていたことがわかった。享年78。風呂に浸かった状態で動かなくなっているのを、自宅を訪れた親族が見つけて119番通報し、死亡が確認された。最近は仕事をセーブしていたが、持病はなく、健康状態に問題はなかったという。葬儀・告別式は近親者のみで営まれた。

 

 蛾次郎さんは1968年、テレビドラマ『男はつらいよ』(フジテレビ系)に出演。1969年からは、映画版の『男はつらいよ』に、柴又題経寺の寺男・源吉役(愛称・源公、源ちゃん)で出演し、人気を博した。

 

 

 本誌は2019年11月、蛾次郎さんへの独占インタビューで、『男はつらいよ』の撮影秘話を語ってもらっていた。

 

 蛾次郎さんは23歳のとき、山田洋次監督のオーディションに合格し、俳優として頭角を現していった。

 

「トレードマークになったアフロ? あれはね、髪を切るのが面倒だっただけ(笑)。天然パーマを丸く刈ったら、ああなるのよ。そしたら仕事が増えて、松田優作、原田芳雄とか、ほぼ毎日、一緒にいて、よく酒を飲んだよ」

 

 映画『男はつらいよ』では、寅さん(故・渥美清さん)の弟分として、コミカルな役柄を演じた。

 

「撮影が終わると、『蛾次郎、六本木に行こうか』って渥美さんが誘ってくれて、いつも高い寿司をご馳走してくれるんだ。食事のあとに、生バンドで歌える店に行って、渥美さんが『お前、寅さんの歌歌えるか?』『歌えるよ』って、調子よく歌ったらお客さんも大喜び。俺も嬉しかったね」

 

 源吉は、憎たらしくも愛らしいキャラクターだった。

 

「頭が悪い役だから、難しいんだよ。みんな楽でいいなって言うんだけど、ばかやろう! 口をぽかんと開けてテレビに映ってみなって(笑)。寅が女の子に振られて、喜ぶような男だからね。人が悲しむ姿を見て喜ぶような男なんだよ。そんなふうに、監督から指導されたんだ。とくに難しかったのは、幼稚園児が7、8人いて一緒にかくれんぼをやるシーン。子供たちは言うことを聞かないから難しい。監督は『精神年齢を同じにしてやれ!』って言うんだけど、できるわけがない!」

 

 役者として発掘し育ててくれた山田監督への感謝の気持ちは、いつも、おせちに託していた。

 

「寅さんがなかったら、今の俺はない。山田監督のおかげだもん。ずっとね、毎年、山田家のおせちは、俺が作っているんだ。もう30年以上になる。お餅とおせち、雑煮も作って、12月31日に監督の家に持って行く。『いつもお世話になっています』って。言葉にはしないけどさ、『今日あるのは、あなたのおかげです』っていう思いで、作って渡しているんだ。そのへんの料亭には負けない味でね、みんな美味しいって喜んでくれる。山田監督への、せめてものお返しなんだ」

 

 蛾次郎さんのユーモラスな姿は、いつまでも映画の中で生き続ける。

( SmartFLASH )

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