12月13日、映画配給会社「東宝」はスタジオジブリの宮崎駿監督(81)が制作を進めている長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』を2023年7月14日に公開すると発表した。
宮崎監督は前作『風立ちぬ』(2013年公開)のあと、長編映画からの引退を表明していたが、のちに撤回。今作は10年ぶりの新作となり、同時に鳥のようなキャラクターが描かれたポスタービジュアルも明らかになっている。
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2001年に公開した宮崎監督の映画『千と千尋の神隠し』は興行収入300億円以上を記録。20年近くにわたって、日本の興収記録1位の座を守り続けてきたが、それを破ったのが『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年公開)だった。
本誌は、『鬼滅の刃』が『千と千尋』の興収記録に迫っていた2020年11月、自宅周辺で日課のゴミ拾いのために出てきた宮崎監督を直撃していた。
記者の質問に「まあ、僕には関係ないことだと思います。興行成績がどうのこうのということには、あまり関係しないほうが、現場は平和でいいんです。一生懸命作っていりゃあ、いいんで」と話した宮崎監督。
『鬼滅の刃』については「観ません。ほとんど観てないんです、ほかのものを。テレビも観ないし、映画も観てない」と断言した。
しかし、ジブリ超えの勢いについてはすでに知っていたようで、「(『千と千尋』が抜かれることについて)そんなことは、どうでもいいよ。世界はいつもインフレになっているんですから。(それよりも)ゴミを拾わないと……」と、ヒットについて独自の見解を示していた。
その際に『君たちはどう生きるか』の制作について、このように話していた。
「やっています。僕は引退したまま、やっているんですよ。それについては、東宝を通じて聞いてみてください。僕は全体のことは把握していませんから。ゴミ拾いで回らなくちゃいけないので、これで……」
あくまで “隠居の身” のまま、作業を続けていると話した宮崎監督。2017年に制作が明らかになって、およそ5年でふたたび長編映画を完成させた。
その宮崎監督にカルチャー担当ライターは、ある期待を抱いているという。
「じつは、宮崎監督には “幻の連載作品” があるんです。かつて、『風の谷のナウシカ』などを漫画で描いていたことは知られていますが、宮崎監督はいまなお温め続けている『鉄砲侍』という漫画原稿があるんです。
北条氏と上杉氏が激しく勢力争いをしていた戦国時代後期の関東地方を舞台に、騎馬鉄砲隊の武士・蛭子八郎太を描く物語だそうです。前作『風立ちぬ』の原作漫画が掲載されていた『月刊モデルグラフィックス』で連載するつもりで、長編映画引退を表明した後に筆を進めていましたが、時代考証を進めるうちに中断になっていたんです。
ただ、宮崎監督が描いた主人公の絵をもとに同誌から2015年にフィギュアだけは発売されています。『君たちはどう生きるか』の制作が手を離れた暁には『鉄砲侍』の連載再開に着手していただけるといいのですが……」
11月に開園した「ジブリパーク」でも、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、宮崎監督がこっそり “案” を考えていた、と明かしている。いまなお尽きない創作意欲のまま、幻の作品も完成させてほしいものだ。
( SmartFLASH )