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本田翼『君の花になる』ツッコミどころ満載だが、熱心なファンこそ納得できた最終話【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.12.21 21:22FLASH編集部

本田翼『君の花になる』ツッコミどころ満載だが、熱心なファンこそ納得できた最終話【ネタバレあり】

 

 視聴者の脳裏によぎっていた4択の結末。どのような終幕が待っているか読めないまま、最終話(第10話)を迎えたラブコメディ『君の花になる』(TBS系)。

 

 12月20日放送の最終話は、結論を言うと4つのうち最高のハッピーエンドで幕を閉じた。

 

 本田翼演じる主人公・仲町あす花が、7人組ボーイズグループ「8LOOM」が共同生活を送る寮の寮母となり、彼らがトップアーティストになっていくために応援していくストーリー。あす花は元高校教師で、8LOOMのセンターを務める佐神弾(高橋文哉)は元教え子。数年ぶりに再会した2人の恋愛エピソードが中心に描かれた。

 

 

■最終話の開始時点で結末は4択になっていた

 

 本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話から最終話まで6.5%、6.0%、5.2%、5.1%、5.3%、4.6%、4.6%、5.0%、4.9%、5.4%と推移。全話の平均は5.26%で、とてもヒットとは言えない結果となった。

 

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)などのヒット恋愛ドラマを生み出してきたTBSの火曜22時枠だけに、初回が6%台と低調だったことも衝撃だが、結局、その低調な第1話が最高視聴率となってしまった。

 

 大ヒット中の『silent』(フジテレビ系)が、TVerのお気に入り数247.1万人(12月21日現在)なのに対し、『君の花になる』は46.2万人と5分の1にも満たないため、「今のご時世、視聴率だけが人気の指標ではない」といった言い訳も通用しないだろう。

 

 ここで、最終話までのおさらいをしておこう。

 

 あす花は、弾との恋愛スキャンダルが原因で8LOOMの寮母を辞職。弾と離ればなれになったまま、フリースクールで寮母兼教師として働き、忙しい毎日を送っていた。一方、8LOOMのメンバー7人は、それぞれ新たな夢ができたことから、個々の挑戦のため解散することを決断していた。

 

 そのため、最終話の開始時点で、結末は以下の4択になっていた。

 

(1)8LOOMは解散し、あす花と弾は完全破局
(2)8LOOMは解散し、あす花と弾の恋は成就
(3)8LOOMは解散撤回し、あす花と弾は完全破局
(4)8LOOMは解散撤回し、あす花と弾の恋は成就

 

 8LOOMが解散するか否かについては、解散してそれぞれが前向きに夢を目指すにしても、解散を撤回するにしても、ドラマとしてはどちらも美談にできるので、本当にどちらに転ぶかわからなかった。

 

 あす花と弾についても、離ればなれのままお互いの人生を歩んでいくにしても、最終的に恋が成就するにしても、やはりどちらも美談として描くことはできる。そのため、こちらも本当にどちらに転ぶかわからない状況だった。

 

 この2軸がどのような結末を迎えるかが気になるので、熱心に視聴してきたファンにとっては、非常に “引き” の強い最終話だったと思う。

 

■【ネタバレあり】完全なるハッピーエンドに

 

 劇中のリアリティを追求するのであれば、第9話までの流れ的に、(1)8LOOMは解散し、あす花と弾は完全破局が妥当だったろう。しかし、ここで結末のネタバレをすると、(4)8LOOMは解散撤回し、あす花と弾の恋は成就となった。要するに全方位的なハッピーエンドとなったわけだ。

 

 正直、解散撤回するシーンは、ツッコミどころ満載で、ご都合主義感は否めなかった。

 

 8LOOMは最初で最後のライブツアーをおこない、その最終日に解散発表をする予定だった。実際、ライブ中のMCで、弾は「解散を発表するつもりでした」と言うのだが、メンバー全員が「解散したくない」と本音を吐露する展開に。これでは茶番だったとしか言いようがない。

 

 また、そもそも第9話のラストで、弾以外のメンバー6人は、新たにできた夢を保留し、8LOOMの活動に全力を注ぐ方向でまとまりかけていたのに、それを解散に誘導したのは弾なのだ。

 

 確かに、弾はメンバー全員の気持ちを汲んだ発言をしていたし、解散はメンバー全員の総意になっていたが、はたから見ると、解散を先導した本人が解散を撤回した形。ここもちょっと興覚めするポイントになっていた。

 

 そして、最終話の終盤、劇中の時間が3年後にジャンプ。新たな夢に挑戦し、一時的にグループから離れていたメンバーも戻ってきたようで、久しぶりに7人全員揃った8LOOMがパフォーマンスを披露する。

 

 そして、あす花と弾は再会し、弾いわく「始まりのハグ」をする。この “始まり” とは、それまで封印していた2人の恋愛を始めるという意味だろう。

 

 こうして迎えた完全なるハッピーエンド。

 

 ご都合主義的だったりツッコミどころ満載だったりしたものの、本作はそもそも乙女ゲー(恋愛シミュレーションゲーム)の要素をドラマ化したような作品だから、視聴者もそこまでリアリティを求めていないだろう。

 

 そういう意味で、ファンが求めていた最大公約数的な最終話だったと思う。視聴率はいまいちだったが、ファンにはしっかり寄り添い、熱心なファンであればあるほど納得した作品になったのではないか。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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