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広瀬すず『夕暮れに、手をつなぐ』期待度大だが「野生児のような女の子」というヒロイン像にモヤモヤ
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.24 11:00 最終更新日:2023.01.24 11:00
『愛していると言ってくれ』(1995年/TBS系)も、『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)も、リアルタイムで食い入るように観て夢中になっていた。
両作を執筆したのは脚本家・北川悦吏子氏。彼女の熱狂的なファンというほどではないが、筆者にとってはいまでも好きな脚本家の一人である。
そんな北川氏の最新作は、広瀬すずが主演し、相手役をKing & Princeの永瀬廉が演じる青春ラブストーリー『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)。先週火曜からスタートしたのだが……。率直に言って、いろいろとモヤモヤを抱く第1話だった。
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■広瀬すずの新境地と言えば新境地
第1話は2人が偶然の出会いから、ひとつ屋根の下で暮らすことになるところまでが描かれた。
九州の片田舎で育った浅葱空豆(広瀬)は、幼馴染みで婚約もしていた恋人を追って上京するも、その彼氏は他に女を作っており、あっさりフラれてしまう。彼女が失恋する前後に運命的な出会いを果たしたのが、音楽家を目指す海野音(永瀬)。
23歳で同い年の2人は、ときに反発しあうも相性がいい部分もあり、音は空豆にほのかに惹かれている様子。そしてこれまた偶然、音が暮らす下宿先に空豆も転がり込んできて――という展開だった。
空豆と音が4、5回もたまたま遭遇するご都合主義は、“運命” だと言われればそれまでなのでいいとして、引っかかったのは独特な九州訛りが特徴で粗暴な言動も多々あった空豆のキャラクター。
公式サイトの人物紹介欄で《九州の片田舎でのびのび育った野生児のような女の子。その野生児っぷりに「猿」や「猪」と呼ばれることも》と説明しているぐらいだから、北川氏が意図的に作り上げたキャラなのだろう。
しかし、広瀬すずの新境地と言えば新境地なのだが、男勝りな振る舞いがどうにも荒々しすぎて引いてしまい、シンプルに魅力を感じられなかったのだ。
■「古臭い」というよりは「ズレている」?
魅力があまり感じられない要因を掘り下げて考えてみると、「令和の23歳女性」という設定だから受け入れられない部分が多いのだと気づく。
たとえば大正時代や昭和前期が舞台の作品なら、これぐらい活発なおてんば娘がヒロインでもハマッただろう。
時代設定は令和でこの奇抜なヒロインにしたかったのなら、せめて10代であるべきなのではと思う。同じキャラでも18歳の設定で5、6年前の広瀬が演じていたとしたら、ここまでの違和感はなかったのではないだろうか。
要するに、この令和の時代に23歳の女性があんなに粗暴だと、さすがに「純粋でかわいいね」と好意的にとらえられず、やや引いてしまうということだ。
そもそも今年6月で25歳になる広瀬が演じるヒロインを、公式が “女の子” と表現している時点で、感覚がズレている気がしてならない……。北川氏の近年の作品はストーリーやセリフが「古臭い」と批評されることも少なくないが、「古臭い」というよりは「ズレている」のかもしれない。
とは言え、第1話を観たかぎりでは感情移入しづらいヒロインなのだが、これらの批判はすべて想定内という可能性も十分考えられる。これから第2話、第3話とストーリーが進むごとに、空豆の野生児っぽさが薄まっていき、ピュアさをうまく残したまま洗練されたヒロインにアップデートしていくなら、面白くなりそうだ。
実際、第1話では身なりも野暮ったかった空豆だが、今後ファッション業界に夢を見出すという展開になるようなので、センスが磨かれていくはず。また、第2話の予告映像ではモサッとしていた髪型を艶々のストレートにしてイメチェンしているシーンもあったので、ブラッシュアップされていくヒロインに期待したい。
逆にいうと、もしこのままずっと空豆の野生児っぽさが前面に出たままなら、観続けるのはしんどくなるかも……。
――第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は8.0%。近年の視聴率の水準で言うと可もなく不可もなくという数字だ。今後、本作がヒットと呼ばれるようになるかは広瀬演じるヒロイン次第だろう。第2話は今夜放送である。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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