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『警視庁アウトサイダー』濱田岳の演技はやはりスゴイ!続編を作らない美学がいい余韻を生んだ【ネタバレあり】
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.03 18:43 最終更新日:2023.03.03 19:11
終わりよければすべてよし。きちんと1クールで物語を完結させたきれいな終わり方だった。
3月2日に最終話(第9話)が放送された西島秀俊主演の刑事ドラマ『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)。世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話で10.7%を記録したが、第2話以降は一桁台に陥落。しかし、最終話は10.2%と再び二桁に乗せ、有終の美を飾った形だ。
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殺人事件などを扱っていたものの、コメディ要素が強くライトな作風だったり、西島が演じる極道風のオラオラ刑事の言動が薄っぺらでスベッていたりと、物語序盤のころはどこか寒々しいドラマだと感じていた。
しかし、最終話で描かれた事件とその結末のエンタメ的おもしろさや、ラストの別れのシーンなど、いい余韻をたっぷり残した終幕だったと思う。
■三者三様の個性を放った世代の違うトリオ
本作の主要キャラは3人。
警視庁のマル暴(組織犯罪対策部)から所轄の刑事課に飛ばされてきた破天荒な刑事で、グレーな手段もいとわず、ときには警察のルールも破って難事件を解決していく架川英児(西島)。
10年前に起きた殺人事件の父親の冤罪を晴らすため、まったくの別人になりすまして警察に潜り込み、所轄の刑事課のエースにまでなっていた蓮見光輔(濱田岳)。
安定した公務員に憧れて警察官になったという、警視庁副総監の娘で、当初は刑事の仕事も乗り気ではなかった現代っ子ながら、どんどん人間的に成長していった水木直央(上白石萌歌)。
この歳の離れたトリオは三者三様の個性があり、彼らの掛け合いをずっと見ていたくなるような絶妙なバランス。ラストシーンではそんな3人がそれぞれの道を歩んでいく姿が描かれ、もうこのトリオが見られないのかという寂しさが募るほどだった。
■【ネタバレあり】濱田岳の演技はやはりスゴイ
最終話では物語の縦軸となっていた事件が見事に解決。詳細は避けるが、第1話から登場していた若手政治家(斎藤工)らが、事件の真犯人を隠蔽していたというストーリーは見応えがあったし、最終話の逆転劇で追い詰めていくさまは痛快だった。
クライマックスでは蓮見が政治家と対峙し、父の無実を証明するという積年の悲願を果たす。さすが演技派の濱田だけに、難しい心情を秀逸に表現していたと思う。
特に政治家にゆっくり手錠をかけながら感極まって涙をこぼす芝居や、手錠をかけ終えた後に脱力して思わず尻もちをついてしまう芝居は圧巻。役が憑依したナチュラルな演技だったのか、それとも事前に用意していた演技プランだったのかはわからないが、素晴らしい熱演だと感じた。
■いいドラマだったと思わせる有終の最終話
事件解決後、架川と蓮見は所轄を離れることに。蓮見の場合はただ所轄から異動になるわけではなく、他人になりすまして警察に潜り込んでいたことを自首するとのことだったので、もう3人が刑事として組む姿は見られないだろう。
要するに、普通に考えれば続編は作れないということだ。
もちろんテレ朝がどうしても続編を作りたくて、強引な裏技設定で蓮見を警察に戻したり、蓮見が私立探偵になっていたりするなら、シーズン2などを制作することもできなくはないが、さすがになさそうだ。
だからこそ、ラストシーンで3人が別れの言葉を交わし、別々の道を歩んでいくシーンがやたら切なくて最高なのである。
テレ朝の刑事ものというと、どうしてもシリーズ化を狙っているのではないかと勘ぐってしまうが、本作においてはきれいに1クールで完結していた。
続編を作るのももちろんいいのだが、続編を作らないという美学も当然あって、10話前後でスパッと潔く終わるドラマの最終話はやはりグッとくるものがある。
正直、最後まで極道風刑事を演じる西島が無理をしているように見えて違和感があったが、この有終の最終話を見届けるといいドラマだったと思えた。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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