JR東海の株主総会が、6月23日、名古屋市内で開かれた。株主からの質問が相次いだのは、やはりリニア中央新幹線についてだった。
「リニアの開業が、今の段階でどのくらいのめどになっているのか」
「1日でも早く開業してほしい。静岡県との協議の状況はどうなっているのか」
これらの質問に対し、JR東海の宇野護副社長は、
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「静岡県の理解が得られておらず、2027年の開業は難しい状況。早期開業に向けて、地域との連携や環境保全などを重視し、全力で取り組んでいく」
と説明した。
株主総会では、水資源確保のためJR東海が提唱した、大井川上流の田代ダムの取水抑制案についても、「東京電力リニューアブルパワーと協議を始めた」と説明された。
出席した株主は377人で、昨年から100人以上増加。それだけ、リニア工事が進まないことに業を煮やす株主が多いとも言えよう。
そして同じ日、東京・丸の内からも「リニア工事を進めてほしい」との声があがった。元プロレスラーの格闘家・高田延彦だ。
高田は、東京・丸の内ピカデリーでおこなわれた映画『大名倒産』の初日舞台あいさつに登壇。高田は同作品で、幕府の実力者である旗本大番頭の役で出演している。
「もし今と違う職業を選んでいたら?」との質問に、主役の神木隆之介は「車掌さん」、ヒロインの杉咲花が「花屋さん」などと答えるなか、高田は「妻にも言ってないんですけど……リニアモーターカーの運転士になりたい」とまさかの返答。
そして「今、静岡で工事が止められているんだよね? 静岡の知事さんに理解してもらって、工事を進めてほしい」と訴えた。さらに、100億円あったら? との質問に「聞くだけ野暮でしょ。リニアのトンネルに投資します。寄付します」と明言した。
リニア推進派にとってはなんとも心強い言葉だが、ただひとつ残念なことに、リニアは無人運転で、運転士が不要なのだ……。
これまでリニア工事を容認せずの立場をとってきた静岡県の川勝平太知事は、23日、大井川上流の田代ダムの取水抑制案について、
「JR東海には速やかに協議を進めていただきたい。両者の協議が整い次第、県の地質構造・水資源専門部会でJR東海との対話を進めていく」
とのコメントを出している。
リニア問題は、ほんの少しだけ前進したように見えるが、はたして――。
( SmartFLASH )