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堺雅人『VIVANT』話題てんこ盛りなのに視聴率11.5%…日本のドラマ業界に大ダメージを与えかねない

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.07.23 11:00FLASH編集部

堺雅人『VIVANT』話題てんこ盛りなのに視聴率11.5%…日本のドラマ業界に大ダメージを与えかねない

 

 先週放送の初回の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は11.5%……“好発進” と見る向きもあるだろうが、これってかなりまずい数字なんじゃないだろうか。

 

 堺雅人が2020年の『半沢直樹』第2シリーズ以来、TBSの「日曜劇場」枠で主演する『VIVANT』のことだ。

 

 徹底した情報規制がされており、ストーリーやキャストの役柄などは伏せられたまま放送当日を迎えた本作。

 

 

 堺が演じる主人公は、大手商社に勤める乃木憂助。誤送金された130億円を取り戻すべく、送金先の企業のある中央アジア・バルカ共和国へ向かうも、爆発事件に巻き込まれたあげく、その爆破犯に間違えられ現地警察から追われる羽目に――というのが第1話のストーリー。

 

 爆発事件をきっかけに、公安警察・野崎守(阿部寛)と医師・柚木薫(二階堂ふみ)に出会った乃木。3人で協力しながらセーフティゾーンである日本大使館を目指すのだが、銃撃戦ありカーチェイスありのダイナミックな逃亡劇となっていた。また、広大な砂漠を旅する自然美あふれるシーンなどもあり、大作映画さながらの映像で魅せてくれたのだ。

 

 野崎いわく、「お前(乃木)は世界中を巻き込む大きな渦に入り込んだ」とのこと。物語は130億円を取り返すだけにとどまらない、さらに大きなスケールになっていくことが示唆された。

 

■超豪華キャストと大作映画なみのスケール

 

 本作は堺が「日曜劇場」に凱旋主演するというだけでなく、話題がてんこ盛り。

 

 まず、同じく「日曜劇場」枠で高視聴率を獲得していた『下町ロケット』シリーズ主演の阿部寛、『陸王』主演の役所広司が脇を固めること。阿部や役所が主演以外でドラマに出るのは珍しく、さながら “日曜劇場版アベンジャーズ” とも呼べる布陣で、堺を乗せた神輿を担いで盛り上げようという気概が感じられる。

 

 そのほかの出演陣も二階堂ふみ、松坂桃李二宮和也竜星涼林遣都濱田岳小日向文世など、ゴールデンタイムでの主演経験者がズラリと並ぶ。

 

 また、本作は『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』などを大ヒットに導いたTBSドラマのエース・福澤克雄氏が、演出だけでなく原作も手掛けた完全オリジナルストーリー。日本ドラマ界で類を見ないドリームチームで制作されているのである。

 

 そして、第1話を観ればわかるが、モンゴルで大勢のエキストラを動員した大規模ロケを敢行しており、大作映画なみに時間も手間暇も惜しみなく注ぎ込んでいる印象。

 

 実際、モンゴルロケは2カ月半にも及んだそうで、その期間だけで他のドラマなら1クール分の撮影が終わってもおかしくはないだろう。

 

■『ラストマン』の最低視聴率を下回る出だし

 

 さて、超豪華なキャスト陣を揃え、壮大なスケールで撮影していることから、平均的な日本ドラマの比ではないほどの莫大な制作費がかけられていることは想像にかたくない。

 

 ということを踏まえたうえで、「視聴率11.5%」という数字をどう判断すべきか。

 

 6月まで放送されていた「日曜劇場」の前作、福山雅治主演の『ラストマン-全盲の捜査官-』は、第1話で世帯平均視聴率14.7%を叩き出し、今年の民放ドラマ最高視聴率を記録。そして、最終話まで一度も12%を下回ることなく、全話平均は12.9%というハイスコアを叩き出した。

 

『ラストマン』も脇を支えるキャストに素晴らしい役者を揃えていたが、『VIVANT』は集めたキャストが桁違いに豪華だし、『ラストマン』は『VIVANT』ほど撮影に制作費も期間もかけていないだろう。

 

 今は見逃し配信で視聴するドラマファンも多いし、リアルタイム視聴を計測している視聴率だけが絶対的な指標ではない。とは言え、『VIVANT』が事前情報をほとんど出さなかったのは、謎に包むことで期待感を煽って視聴率を跳ね上がらせるためだったとも考えられる。

 

 その結果が11.5%。今のご時世で、ほかのドラマがこの視聴率を叩き出したならロケットスタートと言える上々の数字だが、『VIVANT』のバックボーンを考えると、正直、“不発” と思えてしまわないだろうか。

 

 さまざまなドラマを観てきた筆者は、3年前の『半沢直樹』初回が22.0%だったことから、『VIVANT』も初回20%超えを狙えると予想していた。最低でも『ラストマン』の14.7%超えとなる17~18%ぐらいは手堅いと思っていたのだ。

 

■日本のドラマ業界をひとつ上のステージへ

 

 もし『VIVANT』がこのまま11%前後をうろちょろする程度の数字で最終話までいってしまったら、この作品だけでなく、日本のドラマ界の未来に与える悪影響がすさまじく大きいように感じる。

 

 豪華キャストを揃えて莫大な予算を注ぎ込んでもこの程度の結果だと、費用対効果が低いため、ドラマビジネスとしては失敗の烙印を押されてしまうだろう。

 

 となると、TBSだけでなく他局もビビッてしまって、今後日本ではこのレベルの予算を組んだ作品が作られなくなってしまうのではないだろうか。

 

 日本のドラマ業界は、アメリカと比べて予算やスケールが圧倒的に小さいというのは昔から言われていたが、近年では韓国ドラマとも大きな差をつけられている。『VIVANT』が不発のまま最終話を迎えたら、その差はさらに開いてしまうかもしれない。

 

 とは言え、まだ第1話が放送されただけ。

 

 初回の放送当日の22〜23時は、Twitterの世界トレンド1位を獲得するほどSNSでの反響は大きかった。Twitterやそのほかのネットの書き込みをみると、スケールの大きさやダイナミックな映像、先が読めないストーリーなどを絶賛する声が多数を占め、批判的な意見は少数だったのも印象的だ。

 

 また、見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数は81.0万人(7月21日現在)とまずまずの数字となっている。

 

『VIVANT』が成功をおさめれば、日テレやテレ朝やフジも「うちの局でも『VIVANT』ドリームを掴むぞ!」と息巻いて、巨額の予算を計上する大作ドラマの制作に乗り出すかもしれない。

 

 そして、韓国ドラマに追いつけ追いこせ、アメリカドラマにどんどん近づけとばかりに、ドラマ業界全体が活気づいていくだろう。

 

 今夜放送の第2話以降で、視聴率やTVer再生数が右肩上がりになっていくことに期待したい。

 

 社会現象化するほどのブームを巻き起こし大成功をおさめれば、日本のドラマ業界をひとつ上のステージに押し上げてくれる作品であることは間違いないのだから。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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