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杉野遥亮『ばらかもん』は今クールの隠れた名作…同じ海が舞台でもキラキラ押し売りの「月9」とは大違い

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.08.02 11:00FLASH編集部

杉野遥亮『ばらかもん』は今クールの隠れた名作…同じ海が舞台でもキラキラ押し売りの「月9」とは大違い

 

 月曜21時の『真夏のシンデレラ』と水曜22時の『ばらかもん』。

 

 どちらも海が舞台のフジテレビドラマながら、キラキラした「月9」とはまったく違う素朴感。個人的には、一切の迷いなく『ばらかもん』派だ。

 

 先週水曜に第3話まで放送されている『ばらかもん』は、五島列島(長崎県)の美しい海辺の町を舞台にしたハートフル “島” コメディ。「ばらかもん」とは五島列島の方言で “元気者” を意味する言葉だという。杉野遥亮がゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演を務めている。

 

 

 書道界の家元の後継ぎで、世間にもてはやされてきたプライドの高い27歳の書道家・半田清舟(杉野)。東京で生まれ育った清舟だったが、ある挫折をきっかけに、父から「お前は書道家の前に人間として欠けている部分がある」と諭され、修行するため五島列島で一人暮らしを始めることに。

 

 一人きりで静かに書に向き合うつもりだったが、近所の小学生・琴石なるをはじめ、勝手に家に上がり込んでくる個性豊かな島民たちに翻弄されながらも、助けられ励まされ、書道家として、人間として成長していく。

 

■五島列島は時間の流れがゆっくりで牧歌的

 

 同じくフジテレビで放送中の、森七菜間宮祥太朗のダブル主演作『真夏のシンデレラ』は、湘南(神奈川県)の海を舞台にしたラブストーリー。きらきらした恋愛を描いた王道路線で、よくも悪くも1990年代のトレンディドラマっぽい懐かしさを漂わせた作風となっている。

 

 同じクールに同じ局で海が舞台のドラマが放送されることはめずらしいが、さすがに作品のベクトルはかなり違う。

 

 まず、海の雰囲気が正反対。『真夏のシンデレラ』は、海辺の町といっても東京のお隣エリアのため都会的に洗練された空気感なのに対し、『ばらかもん』は時間の流れ方がゆっくりしていて牧歌的。

 

 次に、『真夏のシンデレラ』はケレン味たっぷりで、恋愛のバチバチ感やドタバタ感があってにぎやかな作風だが、『ばらかもん』の登場人物たちはいい意味でアホばっかりで、悲壮感のないほんわかした作風だ。

 

『ばらかもん』の主人公・清舟は、自尊心が高いため第1話の頃はけっこうツンケンしていたが、それでも根は素直でやさしいキャラなので、ズケズケと家に入り込んでくる近所の中高生たちと、罵り合いながらも打ち解けていく。

 

 第3話では清舟のライバルが登場。書道展で清舟を差しおいて大賞を受賞した18歳の若手天才書道家が、東京から五島まで訪ねてきたのだ。一見すると不遜かつ自己中なタイプなので、険悪ムードになるかと思いきや、実は清舟に憧れているという、どこか憎めないキャラとして描かれた。

 

 こういった嫌味なライバルキャラを使って過剰に不穏な気配を煽ったり、清舟の心をさらに突き落としたりすれば、次回に引っ張ることもできただろうが、安易にそういう展開にしないのがこのドラマのいいところ。第3話の後半では、すっかり清舟や島の子どもたちとも仲よくなり、ほっこりエンドとなっていた。

 

 清舟が落ち込んでいるシーンもちょっとコミカルに描いたり、天才系ライバルキャラにもツッコミどころを用意していたりするので、緊張感が長引かない。ハラハラしたりモヤモヤしたりするシーンがあっても、わりとすぐに緩和状態になるので、肩ひじ張らずに観られるのである。

 

 ――世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から第3話まで5.9%、5.3%、5.3%と推移。見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数は、52.7万人(7月31日現在)となっている。

 

 ストーリー的にもデータ的にも派手さはない。しかし、主人公と気のいい仲間たちによる笑って泣けるドラマとなっているので、今クールの隠れた名作だと思う。今夜放送の第4話もお気楽にだらっと視聴したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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