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『何曜日に生まれたの』飯豊まりえの好演で、脚本家・野島伸司の復活に期待高まる
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.13 11:00 最終更新日:2023.08.13 11:33
今のところは恋愛ドラマ。ただし、今回の野島伸司がそんな凡庸な物語を紡ぐとは思えない。
主演・飯豊まりえ×脚本・野島伸司のタッグで先週日曜にスタートした『何曜日に生まれたの』(テレビ朝日系)。飯豊はプライム帯連続ドラマ初主演、野島氏は地上波連ドラでは5年ぶりの執筆となる。
27歳の黒目すい(飯豊)は、高校時代に同級生男子と乗っていたバイクで悲惨な事故に遭い、それ以降の10年間、引きこもり生活を送っていた。
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そんな折、売れない漫画家の父・丈治(陣内孝則)が担当編集者(シシド・カフカ)から、娘を題材にした漫画の作画の話を持ちかけられる。大ベストセラー作家(溝端淳平)が原作を担当するその恋愛漫画のモデルになることを引き受けたすいは、高校の同窓会に参加しようと決心。
実はバイク事故で同乗していた男子は恋人ではなく、すいにはほかに好きな男子がいた。同窓会の日、その男子と再会したところで第1話は終了した。飯豊まりえは、影のある演技を好演していた。
初回を観るかぎりでは純愛ドラマテイストなのだが、公式サイトでは《ラブストーリーか、ミステリーか、人間ドラマか、社会派か。先が読めない予測不能の衝撃作》と謳われている。わざわざ公式がこんな不穏な煽り方をしているのだから、ただの恋愛ドラマではないことは確かだろう。
■1990年代の野島伸司作品は神がかっていた
個人的な話で恐縮だが、筆者は『101回目のプロポーズ』(1991年/フジテレビ系)と『未成年』(1995年/TBS系)を、好きなドラマベスト5にあげるほど、1990年代の野島作品ファン。
当時の野島作品と言えば、いま思えば「よく地上波テレビで放送したな……」と思えるほどショッキングな出来事で満ちていた。
教師と女子高生の純愛をベースに強姦や近親相姦が描かれた『高校教師』(1993年/TBS系)や、イジメを苦に自殺した息子の復讐を果たすため鬼と化した父親を描く『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(1994年/TBS系)など、実にセンセーショナルだったのだ。
全話平均で視聴率20%超えの大ヒットドラマを量産しており、社会現象と呼べるほどブームになった作品も少なくない。キャストうんぬんよりも、野島伸司の作品だから観るというドラマファンも多く、野島ブランドができあがっていたのである。
しかし、盛者必衰の理とはよく言ったもので、2000年代から野島作品のブランド力は徐々に落ちていき、以前のようなヒット作を生み出せなくなっていた。
実際、テレビ朝日関連のサイトで『何曜日に生まれたの』を紹介する際に、野島氏の代表作にあげられているのは『101回目のプロポーズ』『高校教師』『未成年』。テレ朝としては野島氏のすごさを伝えるためにチョイスしたのだと思うが、いずれも30年前後も昔の作品なのだ。2000年代以降の野島氏の凋落を如実に物語っている。
■ありきたりなハッピーエンドにはならないはず
そんな野島氏だが、今回の『何曜日に生まれたの』では、必ず復活を果たすという気概を感じた。
第1話は一見すると恋愛ドラマだが、過去の凄惨なトラウマが描かれたり狂気の片鱗を見せるキャラがいたりと、恋愛ドラマのセオリーをいい意味でぶっ壊してくれそうな雰囲気が漂っている。
コンプラ意識が浸透するあまり守りに入った番組が多くなり、視聴者もそんな生ぬるいテレビに慣れている現代だからこそ、『高校教師』などで与えてくれたありえないほどショッキングな視聴体験を、再び味あわせてほしい。
まだまだこの先どう転がっていく物語なのか読めないが、引きこもりだった主人公がトラウマを克服して純愛で結ばれるという、ありきたりなハッピーエンドにはならないだろう。
ちなみに本作の主題歌はイギリスのロックバンドであるホリーズの「Bus Stop」(1966年)。
過去の野島作品のなかにも、『人間・失格』のサイモン&ガーファンクル「A Hazy Shade Of Winter」、『未成年』のカーペンターズ「I Need To Be In Love」、『世紀末の詩』(1998年/日本テレビ系)のジョン・レノン「LOVE」と、往年の洋楽が主題歌として採用されているケースは多かった。
要するに、『何曜日に生まれたの』は主題歌からして全盛期の野島作品を彷彿させるのである。
野島伸司は終わってしまった――そんなことを言わせないように、今作で再び世の中を驚嘆させてほしい。飯豊まりえも、そうした期待に十分応えてくれそうな第2話は、今夜放送だ。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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