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吉岡里帆『時をかけるな、恋人たち』1話22分しかないのに笑って泣けて…構成力が神すぎる
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.10.17 11:00 最終更新日:2023.10.17 11:00
比喩ではなく、笑って、泣けた。
30分のドラマ枠なので、実際の放送時間は22分。第1話のたった22分でクスクス笑わされ、“目頭が熱くなる” レベルを通り越して、涙がポロポロこぼれた。
主演の吉岡里帆と永山瑛太のコンビで、先週火曜の23時からスタートしたSFラブコメディ『時をかけるな、恋人たち』(フジテレビ系)。
個人的に今期一の期待作だったのだが、第1話からあっさりとその期待を上回って来た。
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注目していた理由は、劇団「ヨーロッパ企画」主宰の上田誠氏が脚本を担当すると発表されていたからだ。
上田氏は、映画『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)、『曲がれ!スプーン』(2009年)、昨年放送された波瑠主演のドラマ『魔法のリノベ』(フジテレビ系)などで脚本を務める人物。筆者は『魔法のリノベ』にハマッていたので、『時をかけるな、恋人たち』の放送開始を心待ちにしていた。
■時間短縮と笑いを両立させた一石二鳥な脚本
本作はタイムトラベルを題材にしたSFラブコメ。
現代人の常盤廻(吉岡)のもとに、突如として井浦翔(永山)をはじめとしたタイムパトロール隊員の未来人たちが現れる。歴史改変のおそれがある違法タイムトラベラーの取り締まりに協力してほしいと頼まれた廻は、当初は嫌々だったものの、力を貸すことになり……という展開だった。
現代人と恋に落ちるのは未来人の御法度なのだが、時空を超えて “恋に生きようとする恋人たち” を描いていくことになるようだ。
クスッと笑える小ネタをそこかしこに散りばめているセンスや、時代を超越した切ない恋愛感情の描き方のリアリティが秀逸だったが、それ以上に特筆すべきは構成力だと感じた。
前述したように、第1話の尺はたった22分。この短い時間のなかで、主要人物たちのキャラ紹介や、廻がタイムパトロール隊に協力するまでの物語の土台を描きつつ、第1話のゲストキャラである未来人と現代人の恋の結末まで描いたのである。
特に第1話は、詰め込む要素が多すぎるため、かなり強引にストーリーを進めていた感は否めない。たとえば廻が翔たちを未来人だと理解するまでのスピード感や、タイムパトロールに協力しようと決心するまでの感情の推移、またゲストキャラの現代人女性が恋人は未来人だと認識した理由などが、けっこうな “力技” だった。
しかし、それらの強引さをシュールな笑いへと見事に昇華。それらの “力技” に対して「未来設定を簡単に受け入れすぎ!」「理解力ありすぎだろ!」なんて具合に、視聴者が心のなかでツッコミを入れられるようなセリフの掛け合いになっているのだ。
もちろん、コメディ作品ならではの手法ではあるが、時間短縮と笑いを両立させた一石二鳥な脚本で、とにもかくにも22分間の構成力が神がかっていた。
■“笑い” は期待していたが、まさか泣けるとは
隊員たちはことあるごとに「全宇宙の危機」と煽るわりに、なんだか適当で終始のほほんとしていたり、突然現れた未来人たちに混乱している廻をよそに、彼女が取り締まりに協力してくれるテイでどんどん話を進めていたりと、脱力系の笑いが満載。
テンションが高すぎるわけではなく、程よい温度感のコミカルさで、クスッとなるシーンがテンポよくサクサク出てきて、笑いのクオリティや手数は期待どおりで楽しめた。
一方で予想を大きく上回ってきたのが、未来人男性と現代人女性の恋愛を描いた感動シーン。
音楽好きで令和のレトロミュージックをナマで聴きたいという理由で、違法タイムトラベルしてきた23世紀人。現代で、偶然、耳にした路上ミュージシャンの女性の音楽に惚れて、マネージャーを買って出ていた。過去人と恋をしてはいけないので恋愛感情を伝えずにいたが、お互いに密かに想い合っている関係性だ。
翔たちタイムパトロール隊に捕まったため、23世紀人は未来に送還されることに。隊員たちの温情で単独ライブが終わるまで待つことになったが、現代人の彼女が最後に歌った曲などに筆者は感涙。
笑えることには期待していたが、まさか泣けるとは思っておらず、想定外の感動だった。
今夜放送の第2話でも、笑って泣けることを期待したい。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
( SmartFLASH )