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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』美川憲一さんーー「あんたちょっとウフフ……怖いわ」と言われたことがトラウマに(笑)

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.12.02 06:00FLASH編集部

坂本冬美の『モゴモゴ交友録』美川憲一さんーー「あんたちょっとウフフ……怖いわ」と言われたことがトラウマに(笑)

坂本冬美、美川憲一

 

「あなたね」

 

 じろりと睨まれると、すべてを見透かされているようで身がすくんでしまいますが、素顔の美川憲一さんはとっても気さくで、側にいるだけでふわふわの羽毛にすっぽりと包み込まれたような幸せな気持ちにさせてくださる大、大、大先輩です。

 

 日本の芸能界がいちばん輝いていたといわれる昭和という時代……ぎりぎりでデビューできたわたしには窺い知ることができませんが、光が強ければ強いぶんだけ、その影もまた濃かったはずです。

 

 

 生き残るための競争は、今と比べものにならないほど激しかったはずですし、世間も寛容じゃありませんでした。足の引っ張り合いだって……きっと、あったはずです。

 

 そんな過酷で、強烈で、危険な匂いに溢れ、だからこそ魅力に溢れていた昭和という時代を、美川さんはどうやって生き抜いてこられたのか。

 

 ヒントをくれたのは、ちょいちょい美川さんと一緒に海外旅行に出かけるほどめちゃめちゃ仲がいい、あやちゃん(藤あや子)でした。

 

「私もけっこういろいろな方と出会ってきたけど、あんなに真っ直ぐで、正義感が強くて、心の清らかな人は見たことがないわ」

 

 意外ですか!? でも、そうなんです。皆さんが、本当に聞きたいと思っていることをオブラートに包まず、ストレートに、さらりと言い放つ美川さんの言葉のひとつひとつは、すべて本物。だから、誰もが思わず頷いちゃうんです。

 

 美川さんは、いつだって美川憲一。いつでもどんなときでも、美川憲一を貫き通してきたすご味が、強さが、体から滲み出ているんです。

 

 スゴいですよね。羨ましいです。できることなら、わたしも美川さんのように強くなりたいと思います。でも、竹のように見えて、ふたつに割ったら中にはねちねちした餅が入っているといわれるわたしには、無理っぽい……モゴモゴモゴ(苦笑)。

 

 だったら、せめて、あやちゃんのように、人との間に壁を作らず、ひょいっと入っていける性格ならいいのですが、どんなに仲がよくなっても「この線を越えたら迷惑かな!?」と思った瞬間に立ち止まり、尻込みしたまま後ろにずりずりと下がってしまう性格のわたしには、それも難しくて……。まったく、我ながら嫌になります。

 

 あれは……BSフジで不定期に放送されている、夏ちゃん(伍代夏子)、あやちゃん、香西(かおり)さんと一緒に歌とトークをお届けする『艶歌四人姫!』に、美川さんがゲストとして来てくださったときです。

 

「冬美ちゃん、あんたちょっとウフフ……怖いわ」と、美川さんに言われたことがありまして……。そう言われたわたしは、へ!? です。

 

「ど、ど、どういうことでしょうか?」

 

 うろたえながらお聞きすると、わたしの後ろには不幸の影が漂っていて、近づくと底なし沼に引き摺り込まれそうな感じがするというのです。

 

 怖がりながら、でも目は笑っているようでもあったので、ただそれだけといえばそれだけの話です。これが、ほかの方から言われたことなら、「そんなばかな」ですませたと思います。でも、なんたってすべてを見透かしていらっしゃる美川さんです。

 

 それ以来、美川さんとお会いするたびに、自分でも「そうかもしれない。わたしって不幸なんだ。幸せにはなれないんだ……」と、思うようになってしまって(笑)。

 

 美川さん、今度お会いしたときに、嘘でもいいので「もう不幸の影はないから」と言っていただけませんか。お願いします。

 

さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!

 

写真・中村 功
取材&文・工藤 晋

( 週刊FLASH 2023年12月12日号 )

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