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西島秀俊『さよならマエストロ』にある「2つの懸念点」払拭されないと駄作になる可能性も

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.01.21 11:00FLASH編集部

西島秀俊『さよならマエストロ』にある「2つの懸念点」払拭されないと駄作になる可能性も

 

 先週日曜に第1話が放送され、世帯視聴率11.4%、個人視聴率7.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と好スタートを切った日曜劇場さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)。

 

 筆者が観たところ、さっそく初回から大きな2つの懸念点があると感じた。

 

 

■第1話ラスト2分で明かされた衝撃事実

 

 西島秀俊が主人公の天才マエストロ・夏目俊平、芦田愛菜がその娘・響、石田ゆり子が妻・志帆を演じる本作。

 

 初回のストーリーを振り返っておこう。

 

 マエストロ(指揮者)として音楽の街・ウィーンで聴衆を沸かせていた俊平だが、5年前に娘・響に最悪な “ある事件” が起きてしまう。

 

 その出来事がきっかけで響は父を拒絶するようになり、さらに妻・志帆は2人の子供を連れて日本に帰国。俊平はマエストロを引退し、独り寂しくウィーンに残ることに。

 

 その後、日本にいる志帆から俊平に5年ぶりの連絡が入る。画家である志帆にフランスでの長期仕事が入ったため、日本で子どもたちの世話をしてほしいとのこと。

 

 かくして、俊平は20年ぶりにウィーンから帰国。久しぶりに娘と息子と生活することになったのだが、響は俊平と目を合わせようともせず、家庭内に気まずい空気がずっと漂っている状態。

 

 また、俊平は存続危機に瀕している市民オーケストラ「晴見フィルハーモニー」にかかわっていくことに。実は、志帆が勝手に、俊平にマエストロをやらせるとオーケストラの団長・古谷悟史(玉山鉄二)に約束していたからだ。

 

 こうして俊平は、大きな溝ができてしまっている響との関係性を修復できるのか、そして晴見フィルのマエストロを引き受けるのか、という物語。

 

 だが、第1話ラスト2分あたりで衝撃事実が明かされる。フランスに行っているはずの志帆は日本におり、しかも古谷と一緒に暮らしているようなシーンが挿入されたのである。ドロドロ不倫もありうる不穏な展開で初回は終了した。

 

■ひとつめの懸念点、不倫展開になるのか?

 

 ここからは2つの懸念点について考えていきたい。

 

 ひとつめは、妻・志帆がフランスに行くとウソをついて日本で古谷と生活しており、不倫を想起させる描写があったこと。

 

 公式サイトの人物相関図では古谷から志帆への矢印は「好意」と記されており、古谷の人物紹介欄には《俊平には言えないある秘密を抱えていて……》と意味深長な記述がある。

 

 本当に志帆が浮気をしているとしたら、愛憎入り乱れるドロ沼展開になってもおかしくないが、そうなるとテーマがブレブレになりそうだ。

 

 タイトルを見ればメインテーマが父娘の絆であることは明白なのに、そこに妻の不倫というファクターが加わると、ストーリーがしっちゃかめっちゃかになってしまうのではないか。

 

 しかし、おそらくこの “不倫匂わせ” はただのミスリードだろう。まず古谷は温和なキャラクターで、マエストロとして俊平をとても尊敬している描写や仲よく交流する描写もあった。逆に俊平に対して、敵対心や嫉妬心を見せるような険悪な雰囲気はなかった。

 

 もしそんな古谷が、実は裏で志帆と不倫しているのだとしたら、頭のネジが吹っ飛んだサイコパス野郎ということになり、ますますメインテーマからズレてしまう。

 

 そのため、ストレートに考察するなら、志帆は俊平と響の仲を修復させるため、そして俊平にマエストロとして復帰してもらうため、愛情から水面下でいろいろと動いていると考えるのが妥当なところ。

 

 不倫エピソードが入ると物語が破綻しそうなので、この考察どおりであってほしい。

 

■ふたつめの懸念点、なにをヤラかしたか?

 

 ふたつめの懸念点は、5年前の事件の真相と、娘が父を拒絶する態度の “バランス” が取れているのか、ということ。こちらは、直接メインテーマに関係する要素なので、よりいっそう看過できないポイントだ。

 

 5年前になにが起きたのか、まだ具体的に明かされていないのだが、その事件がきっかけで響は俊平と決別しているので、彼がなにか相当なことをヤラかしたのは確かだろう。響の俊平に対する嫌悪はあまりに過剰なので、俊平がかなりひどいことをしていないと辻褄が合わない。

 

 けれど、俊平は高慢でも冷酷でもなく、おっとりしていてマイペースなポンコツ天然キャラ。天才ゆえに凡人と感性が違う部分はあるものの、不器用ながら娘を愛していることも伝わってくる。

 

 そんな俊平が、響がここまで極端に拒絶するようなことをしてしまうだろうか。俊平には天才特有の変人感はあるので、ある程度はイライラして鬱憤が溜まるのはわかるが、程度の問題ということだ。

 

 もし俊平が響にしたことが本当に残酷な仕打ちだったとしたら、彼のキャラがブレてしまいそうだし、逆に俊平がヤラかしたことがそこまでの大ごとでないなら、響が極端に嫌う理由づけとして弱くなってしまう。

 

“俊平のヤラかし” と “響の拒絶” のバランスがしっかり取れていないと、真相が明かされたときに視聴者が肩透かしを食った気持ちになり、物語に没入しづらくなってしまうだろう。

 

――駄作になる可能性も秘めた2つの懸念点が、今後のストーリーで払拭されることを期待したい。第2話は今夜放送だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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