被災した能登の太鼓が津波に飲まれ、海に揺られること20日。およそ120km離れた新潟県鯨波の浜辺に漂着した。太鼓を発見した男性が「X」(旧Twitter)にポストすると、すぐに太鼓が流出した地域の住民からメッセージが届く。
太鼓は地元の祭りで使われていたもので、地域が壊滅状態のなか、住民は「後世に伝えられるものを大切にしたい」と、御礼とともに太鼓を引き取りに行くと約束した――。
能登地震の被災地では復旧が見通せない厳しい状況が続くが、そんなささやかな出来事がいま注目を集めている。第1報のポストの表示回数は、120万に迫る勢いだ。
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発見者は、鯨波海岸を望む「小竹屋旅館」の主人。本誌取材にこう語った。
「1月20日の午前9時半ころ、浜辺で発見しました。ふだんからいろいろなものが漂着しますが、やはり地震から1週間くらい経つと、建材や畳など明らかにいつもとは異なるものが上がり始めました。
今回は遠目でも明らかに太鼓だとわかり、これも津波によるものだと直感しました。太鼓の上にペンで『白丸区』とだけ書かれていたので、すぐにグーグルマップで検索し、能登町からのものだと確認しました。
それから『X』にポストし、お昼すぎには『白丸区に住んでいる者です』とメッセージをいただきました。いままさに連絡を取り合っているところです。
先方も被災して大変な状況で、こちらから急かすつもりはありませんので、メッセージを送ってまた連絡がくるのを待つという形です。取りに来たいというお話はされていますが、当然すぐには無理でしょう。
見たところ大きい割れなどはなかったので、可能であれば修復してお返ししたいと考えています。費用がどれくらいかかるのか私もわからないので、クラウドファンディングを利用することも検討しています。
実は、和太鼓に詳しい方から、石川県の老舗『浅野太鼓楽器店』をご紹介いただき、そのお店の方とも『X』でつながりました。『ぜひ修理に協力したい』というメッセージをいただいています。今後、どういう形で修理するのか、白丸区の方々と相談する予定です。
白丸区は、津波とあわせて火災も起こったため、ほぼ何も残っていないのだそうです。その状況で、太鼓だけでも残っていることを非常に喜んでくださっているので、私もなんとか力になりたいという気持ちです」
1日も早く能登の日常が戻り、太鼓とともに祭りが復活することを願いたい。
( SmartFLASH )