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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』細川たかしさんーー新幹線の食堂車で氷入りのビールを飲みながらいただいた “金言”

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.02.10 06:00 最終更新日:2024.02.10 06:00

坂本冬美の『モゴモゴ交友録』細川たかしさんーー新幹線の食堂車で氷入りのビールを飲みながらいただいた “金言”

細川たかし、坂本冬美

 

 ギロリと睨まれたら、身がすくみそうな強烈な目ヂカラ。心を震わせるキーンとした歌声。頭頂部は短く、サイドは限界ギリギリまで刈り上げたツーブロックの髪型といえばーー。

 

 そうです。一度そのお姿を拝見したら、その歌声を耳にしたら、絶対に忘れられない、忘れることのできない強烈な個性を身に纏(まと)った細川たかし先輩です。

 

 ご出身は、北海道虻田郡真狩村(あぶたぐんまっかりむら)。大ヒットとなった『心のこり』でデビューされたのが1975年ですから、わたしが8歳のときでした。

 

 

 話が脇道にそれますが、当初この曲は、『私バカよね』というタイトルになる予定だったそうですが、「このたび、『私バカよね』でデビューすることになりました細川たかしです」と挨拶するのは、いくらなんでもあんまりだということで、『心のこり』に変更されたというお話です。わたしの記憶にある細川先輩はスラッとしたイケメンで、おでこも今ほど広くなかったような……モゴモゴモゴ(笑)。

 

 あれ!? いつから変わったんでしょう? 気がついたときには、現在の細川先輩になっていた感じで。う~~~ん。確か一時期、カツラじゃないかという疑惑が浮上して……。そうです。カツラじゃないことを証明するために髪を短くカットしたら、それをレイザーラモンRGさんがわざとらしくまねをして……。犯人(?)はRGさんでした(笑)。

 

 見た目は迫力満点で強面に見える細川先輩ですが、やっかみとか妬(ねた)みとか、そういうものはいっさいなく、誰に対しても分け隔てなく接してくださり、思ったこと、感じたことを、そのままストレートに口にされる先輩です。

 

 そう、あれはBSフジで放送している、あやちゃん(藤あや子)、かおりん(香西かおり)、夏ちゃん(伍代夏子)、それにわたしの『艶歌四人姫!』に、ゲストで来てくださったときのことです。

 

 スタイリストさんが用意してくださった衣装なんですが、ドレスについている胸パッドがなぜか2つ重なっていて。さすがのわたしも一瞬、ん!? と思いました。思いましたけど、最後はまぁいいかと。細川先輩は気づかないだろうし、3人はおかしいと思っても、見て見ぬふりをしてくれるだろう、と思ったのが間違いのもとでした。

 

 スタジオに入るなり、細川先輩が「冬美ちゃん、それおかしい!」とひと声。さらに「その胸、大きすぎる」と、スタジオ中に響きわたるような声で笑われ、さらにさらにご親切に「ひとつ、取ったほうがいいよ」と、アドバイスまでしてくださいました(笑)。

 

 男の自分がそれを言ったらいやらしく聞こえるかなとか、これを言ったら傷つくかなとか、そんな斟酌(しんしゃく)はいっさいなく、ど真ん中の直球です。

 

 ほかにも、細川先輩との思い出はたくさんありますが、今でも鮮明に覚えているのは、新幹線の食堂車でかけていただいたひと言です。

 

 デビュー間もないわたしは、グリーン車に乗れることが嬉しくて、いつまでも乗っていたかったのですが、「冬美ちゃん、食堂車に行こう!」と、引っ張られるようにして食堂車に移動。「これが美味いんだよ」と、氷を入れてかき混ぜたビールを飲みながら、音楽の話をあれこれ聞かせていただいたのですが、2人とも、ベロンベロンになるまで飲み続けていたので、記憶はおぼろげです。

 

 そのなかでひとつだけ。「この世界、うまい歌手はいっぱいいる。だから、長く歌っていきたいと思ったら、自分の武器を持たなきゃいけない。自分には民謡があるから、冬美ちゃんは歌謡浪曲を習ったほうがいい」とおっしゃってくださった言葉は、今でも忘れることができません。

 

さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!

 

写真・中村 功
取材&文・工藤 晋

( 週刊FLASH 2024年2月20日号 )

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