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高橋留美子氏、ちばてつや氏ら“大物漫画家”が集結…築136年“古洋館”を守った「手段」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.03.20 16:00 最終更新日:2024.03.20 16:01

高橋留美子氏、ちばてつや氏ら“大物漫画家”が集結…築136年“古洋館”を守った「手段」

明治21年に建築された旧尾崎テオドラ邸

 

「この洋館を残すには、漫画家が漫画家の力で、漫画のために動かなくては意味がないと感じたので、そこから高橋留美子先生や高橋のぼる先生たちにお願いしていきました。最終的にこの7人で力を合わせてやることができたのには満足感を覚えています」

 

 そう話すのは、漫画『ドラゴン桜』の作者・三田紀房氏だ。

 

 

 東京・豪徳寺の駅から徒歩9分、閑静な住宅街に突如現れるのはブルーの洋館。築136年、明治時代に尾崎三良男爵が長女・テオドラのために建てたと言われている旧尾崎テオドラ邸だ。

 

 テオドラは後に“憲政の神様”と呼ばれる政治家の尾崎行雄と結婚。尾崎行雄は、ワシントン・ポトマック河畔の名物となった桜の樹をアメリカに贈った政治家としても有名だ。

 

 その旧尾崎テオドラ邸が、ギャラリー&カフェとして3月1日にオープンした。

 

 取り壊され、7軒の建て売り住宅として売られようとしていた歴史的洋館の保存に乗り出したのは、漫画『天才柳沢教授の生活』の作者・山下和美氏だ。山下氏は旧尾崎テオドラ邸を保存するために全財産を捧げたのだ。

 

「取り壊しすると聞いて、居ても立ってもいられず、以前お世話になった建築家の田野倉徹也さんに相談したり、近所の方々と一緒に動いたりしたのですが、なかなか難航しました。ただ、最後にダメ元でネットで署名活動を始めてみたら予想外に大きな反響をいただいたんです」(山下氏)

 

 山下氏の熱意に動かされ、次々と“同業者”が協力を申し出てくれたという。漫画『薔薇はシュラバで生まれる』の笹生那実氏と、その夫で漫画『静かなるドン』の漫画家・新田たつお氏は資金協力。その資金を元に、山下氏と笹生氏は一般社団法人旧尾崎邸保存プロジェクトを設立し、共同代表になった。そこに三田氏が加わり、漫画『うる星やつら』の高橋留美子氏と漫画『賭博黙示録カイジ』の福本伸行氏、漫画『土竜の唄』の高橋のぼる氏も足りない補修工事費を無利子で貸してくれたという。

 

 そしてついに、漫画家7人の力で、一度は売り出された洋館の買収に成功した。洋館の1階はギャラリーに、2階は漫画を中心とした展覧会を開催できるギャラリーに生まれ変わった。

 

 オープンに先だって2月8日におこなわれたお披露目会には、前出の7名に加え、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治氏、『デビルマン』の永井豪氏、『あしたのジョー』のちばてつや氏、『はいからさんが通る』の大和和紀氏、『有閑倶楽部』の一条ゆかり氏、『B.B.フィッシュ』のきたがわ翔氏、『Qコちゃん THE地球侵略少女』のウエダハジメ氏ら関係者約50名が出席。

 

「こんな豪華なメンバーは日本漫画家協会の理事会でも揃わないよ。出席した漫画家先生たちもよくこんなに集まりましたね、と驚いていました。二次会は、近所のカフェに流れたのですが、出席者が店の白壁に寄せ書きを始めたんです。一条ゆかり先生と高橋留美子先生の合作が見られるのは世界でここだけ。その壁だけで1億円くらいの値がつくんじゃないですか(笑)」(出席者)

 

 共同代表者の笹生那実氏はこう語る。

 

「保存のために、クラウドファンディングも実施しました。コミティアのクラウドファンディングのページを参考に一生懸命文章やグッズを考えた結果、なかなかの反響をいただきまして、当初想定していた1500万円を上回る支援をいただきました。それが何よりも心強い励みになりましたね」(笹生氏)

 

 旧尾崎テオドラ邸では現在、新たなイベントが次々と企画されている。

 

「現在は、建物を維持するための費用を賄うために、超豪華漫画家が手がけた原画のチャリティオークションが3月26日まで開催されており、三原順さんの絵本展、松苗あけみさんの原画展もやっています。新たな世田谷の観光名所になるといいのですが……」(前出・出席者)

 

 まさか100年以上の時を経て、“漫画の聖地”になるとは“憲政の神様”も驚くに違いない。

( SmartFLASH )

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