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『新宿野戦病院』小池栄子も仲野太賀も独特の存在感を発揮…実はクドカン初の医療もので「カオス感」も満喫できそう

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.07.10 11:00 最終更新日:2024.07.10 11:00

『新宿野戦病院』小池栄子も仲野太賀も独特の存在感を発揮…実はクドカン初の医療もので「カオス感」も満喫できそう

公式サイトより

 

 一見するとカオスなドラマっぽいが、実はクドカン作品にしては珍しく王道で、わかりやすいストーリーになっていて観やすかった。

 

 7月3日(水)にスタートした脚本家・宮藤官九郎のオリジナル作品『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。小池栄子仲野太賀のダブル主演で、新宿・歌舞伎町を舞台にした救急医療エンターテインメントだ。

 

■小池栄子×仲野太賀、ダブル主人公のキャラ

 

 

 物語はアメリカ国籍の元軍医である謎の女医、ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池)が歌舞伎町に現れたところから始まる。

 

 きらめくネオンでごった返す夜の街の片隅に、ぽつんと存在するオンボロ病院「聖まごころ病院」には、やる気がなく腰掛けで勤務している美容皮膚科医・高峰享(仲野)ら、クセモノの医師や看護師が在籍。しかし、病院には年老いた院長(柄本昭)しか外科医がおらず、存続の危機に瀕していたが、そこにヨウコが現れて――という展開。

 

 小池演じるヨウコは、岡山県出身の母親のもとアメリカで生まれ育ち、13年間軍隊病院で働いていた経歴を持つ。明るく芯の通った性格で、一刻を争う手術での判断や処置はスピーディだが、その代わりにとても雑というタイプ。英語と岡山弁をミックスする独特な口調が個性的だ。

 

 仲野演じる高峰は、チャラくいけすかない典型的な気取り屋で、趣味はカネにものを言わせて港区女子を集めるギャラ飲み。医師としてのスタンスも金儲け主義なのだが、ヨウコやNPO法人の美女(橋本愛)に出会い、次第に感化されていく。

 

「聖まごころ病院」の救急外来に訪れるのはホスト、風俗嬢、トー横キッズ、路上生活者、在留外国人などワケありな患者ばかりだが、ヨウコや高峰は治療を通じて、そんな彼・彼女らの人生にかかわり、救っていく。2人とも独特の存在感を発揮していて、今後の展開にも期待が持てる。

 

■「医療もの」は意外にもクドカンは初挑戦

 

 フジテレビ公式動画配信サービス「FOD」の有料会員だと、1話分先行して配信されるため、筆者は今夜放送される第2話まで視聴済み。

 

 率直な感想としては、クドカンにしては珍しく王道路線で、ストーリーもわかりやすく、とても観やすい作品だと感じた。

 

 ドラマのおもなジャンルには、医師や看護師を主人公にした「医療もの」、刑事や探偵を主人公にした「事件解決もの」、弁護士や検事を主人公にした「リーガルもの」などがあるが、意外とクドカンはこれらのジャンルにあまり手をつけていない。

 

 クドカン作品といえば、土台の設定から突飛な作品が多いからだ。

 

 たとえば、泥棒と野球に明け暮れる青年たちを描いた『木更津キャッツアイ』(2002年/TBS系)、ヤクザが落語家デビューして成長していく『タイガー&ドラゴン』(2005年/TBS系)、若き海女が人気を得てアイドルになっていく『あまちゃん』(2013年/NHK)、昭和と令和を対比させたタイムスリップもの『不適切にもほどがある!』(2024年/TBS系)といった具合。

 

 こういったぶっ飛んだ設定がある意味の “クドカンらしさ” なので、ドラマ業界の王道はほとんど通って来ていない。

 

 筆者が調べたところ、本格的な「リーガルもの」は未経験で、「事件解決もの」は『うぬぼれ刑事』(2010年/TBS系)ぐらい。そして今回の『新宿野戦病院』で「医療もの」は初。

 

 つまり、連ドラ脚本デビューからおよそ四半世紀が経っているが、この手の王道ジャンルはクドカンにとってかなりレアな作品なのである。

 

■『池袋ウエストゲートパーク』を彷彿させる

 

『新宿野戦病院』は歌舞伎町を舞台にし、変わった医師たちやワケあり患者たちが織り成すオリジナリティのあるドラマではある。

 

 ただ、アウトラインは “医師が患者を救う” という定番フォーマットを踏襲しており、病院の仲間たちが結束して困難を乗り越えるチームものの要素もあるため、ストーリー的にわかりやすい。

 

 要するに、従来のクドカン作品は、よくも悪くも初期設定からクセが強すぎて観る者を選ぶドラマが多いのだが、本作は観やすく仕上がっていると感じた。

 

 かといって独自性が薄いというわけでもなく、クドカンテイストは健在。歌舞伎町を舞台に、さまざまな事情を抱えた個性的なキャラが続々と登場するので、カオス感は存分に楽しめるのだ。

 

 ちなみに、クドカンの出世作『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』(2000年/TBS系)は、彼のオリジナル作品ではなく石田衣良氏の小説が原作だが、池袋と新宿(歌舞伎町)という、どちらもアングライメージの強い繁華街が舞台となっているため、似た要素が多い。

 

『IWGP』ではカラーギャングや援助交際といった社会問題を扱い、ヤクザや風俗嬢、不法滞在の外国人などのトラブルを解決していた。このように取り上げる題材や人物の類似点も多々ありそうなので、カラフルなモザイクのようなドラマだった『IWGP』味も感じられるだろう。

 

 ――今夜放送の第2話では、オーバードーズしてしまったトー横キッズや、NO.1ホストに貢ぐ風俗嬢らが登場。第2話にも期待してほしい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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