『笑うマトリョーシカ』(TBS系)は、嵐・櫻井翔にとって今後の役者人生を左右する “岐路” となるドラマなのではないか。
8月9日(金)に第7話が放送された水川あさみ主演『笑うマトリョーシカ』。未来の総理候補として高い人気を誇る若き国会議員と、その有能な秘書の得体の知れない謎の関係性に、主人公の新聞記者が迫っていくヒューマン政治サスペンス。
新聞記者・道上を水川、有能秘書・鈴木を玉山鉄二、そして物語の核を担う国会議員・清家を櫻井が演じている。
物語序盤の道上は、鈴木が清家を操り人形のようにコントロールしているのではと疑っていたが、第7話の時点で状況はだいぶ変わっている。
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清家はとうとう官房長官にまで登りつめるも、ゴシップ記事が出たことによって鈴木は更迭され、切り捨てられてしまった。だが、自暴自棄になり廃人のようになっていた鈴木に道上が手を差し伸べ、大物政治家たちが関与していたとみられる過去の大事件の真相解明のため、タッグを組むという展開。
一方、清家を操っていたのは最初から彼の母・浩子(高岡早紀)で、これまで起こった数々の事件や疑惑が浩子へとつながってきているため、黒幕の最有力候補となっている。
■高岡早紀がラスボスでは少々荷が重い?
さて、劇中では浩子がすべての黒幕なのではないかという描かれ方をされているが、役者の格で考えると高岡早紀ではGP(ゴールデン・プライム)帯ドラマのラスボスは少々荷が重いだろう。高岡の妖しすぎる演技のインパクトは特筆すべきではあるが、彼女が最終話のクライマックスシーンも背負うとは考えにくい。
また、質のいいサスペンスほど、終盤で物語が二転三転して予想外の方向へ進んでいくことが多いもの。だから第7話の時点で黒幕感がこんなにも醸し出されている浩子は、最終話前に失脚するか死亡するかして、物語から “退場” させられるのではないか。
となると、最終話で主人公と対峙するラスボスは、一周まわって操り人形だと思われている清家の可能性が十分あるだろう。
演じる櫻井は、まがりなりにも数々のドラマに主演してきた実績があるし、国民的アイドルグループ・嵐のメンバーでもある彼なら、役者の格として申し分ない。
清家は、鈴木や浩子にコントロールされているフリをして、実はすべてを仕組んでいたなんていうどんでん返しであれば、見応えがありそうだ。
■櫻井が華のある役者なのは間違いない
第7話の清家はそこまで出番は多くなかったものの、そもそも彼をめぐる物語のため、出演シーンはさほど多くなくても存在感は抜群。
たとえば鈴木を更迭した心境を道上から尋ねられた清家は、苦悶の表情を浮かべながら道上の耳元で、「切りたくて切ったわけじゃない」と囁いていた。苦渋の決断だったと言わんばかりで、清家が善人のように見える演出になっている。
清家は操られているだけの被害者で、根はただの善人なのか。それとも裏の顔があり、被害者に見えるように欺いている悪人なのか。まだまだどちらなのかわからず、ドラマの最高のスパイスになっている。
櫻井にとって、そんな清家というキャラクターは、本当にハマり役だと感じる。
演技がうまいかヘタかは置いておいて、国民的アイドルだけあって櫻井は非常に華がある役者なので、政治家としての人気が高騰している清家というキャラの説得力がマシマシだからだ。
ただ、清家にはやはり裏の顔があり、最終話に主人公と対決するラスボス的ポジションを担うのであれば、櫻井には一皮むけた演技が求められるだろう。清家という得体の知れない人物の本性をどう演じるか――そこで俳優としての真価が問われそうである。
国民的アイドルグループの先輩である元SMAP・中居正広は、かつては数々のドラマに主演していたが、現在はMC業に専念しており、俳優業からは卒業状態となっている。
櫻井もゆくゆくは俳優業からの卒業を考えているのであれば、本作での評価をプレッシャーに感じる必要はないが、もしこの先まだまだ演技を続けていくつもりなら、この『笑うマトリョーシカ』という作品は、今後の役者人生の “岐路” になるかもしれない。
今夜放送の第8話以降の終盤戦で、清家演じる櫻井がこれまでのイメージをぶっ壊すような、いい意味での “怪演” で魅せてくれることに期待したい。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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