僕らの少年時代を彩ってくれた1970~1980年代の「夏のCM」。海外撮影も当たり前だった当時の撮影秘話を、あこがれの出演者たちが明かしてくれた!
キャリア約40年の現役モデルであり、ファッションプロデューサーとしても活躍する前田典子。モデルを夢見る彼女がデビューしたのは、18歳のときだ。
「高校を卒業したばかりでした。関西テレビさんの『エンドレスナイト』という情報番組で、一般公募のオーディションがあって、素人の私が初代『エンドレスギャルズ』に選ばれたんです。同期にはハイヒール・モモコさんもいらっしゃいましたね」
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番組で知り合ったスタイリストの紹介で、大阪のモデル事務所に所属した後、21歳で東京へ。当時の東京はバブル真っ盛り。1988年、22歳で近畿日本ツーリスト「沖縄キャンペーンガール」に抜擢された。
「パンフレットの写真を撮るのは前年なので、空港やホテルに行くと、前任の方の等身大水着パネルが置いてあるんです(笑)。そんななかを、水着を何度も着替えて、沖縄中の観光名所を回って撮影しました。撮影はハードだったけど、楽しかったという記憶。何日間、撮影したのかも覚えていないんです」
そして1989年には、名作ぞろいのコカ・コーラCMのなかでも評価の高い「I feel Coke.」シリーズに出演した。
「当時、新人モデルの登竜門といわれていたCMですから、出演が決まったときはうれしかった! この撮影中に23歳の誕生日を迎えて、みんなに祝ってもらえました」
その後は、女性ファッション誌のモデルとして大活躍。次世代の雑誌が創刊されるたび、前田はその表紙や巻頭を飾ってきた。
「私たちの世代は人数も多いし、バブルも経験してるから、何というか……欲もある世代だと思うんですよ。『もっと楽しいことを探そう』みたいな、そういう読者の方々と、一緒に成長できたなと思います」
32歳で俳優・モデルの日比野玲と結婚。2000年には長男が生まれ、30代は仕事をセーブしながら子育て中心の生活を送った。40代でアラフォーブームが到来し、モデル以外の仕事も忙しくなる。情報番組のコメンテーターやバラエティ番組にも出演し、通販チャンネル「QVCジャパン」ではオリジナルブランド「Rejoove」をプロデュースするなど、活動の幅を広げてきた。
「こんなに長く続けるなんて、始めたころは思っていませんでしたけど、あと10年はポーズを決めていそうですね(笑)。モデルに定年退職はないから、生涯、現役でやっていくのも自分のやる気次第ですね。もう60歳手前のアラカンですが、その世代でないとできない仕事がまだありますし、自然体で自分にできる仕事を続けていき、60歳になったら新しい扉が開くかなと思って、楽しみにしています」
まえだのりこ
1965年生まれ 大阪府出身 18歳で『エンドレスナイト』(関西テレビ)の初代「エンドレスギャルズ」に選ばれ、翌年にモデルデビュー。「CanCam」(小学館)、「non-no」(集英社)などのファッション誌で活動し、34歳で長男を出産後は「STORY」のレギュラーモデル、「HERS」(ともに光文社)のカバーモデルを務めた。光文社公式通販サイト「kokode」にてセレクトショツプ「メゾンマエノリ」を展開中。公式Instagramは@maenorichang、公式YouTubeチャンネルは「マエノリチャンネル」
写真・久保貴弘