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「命を奪う要因となる」『水ダウ』演出家の“麻酔ダイイングメッセージ”企画に現役医師が実名激怒「医療資源を無駄遣いすべきでない」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.10.17 18:30 最終更新日:2024.10.17 18:30

「命を奪う要因となる」『水ダウ』演出家の“麻酔ダイイングメッセージ”企画に現役医師が実名激怒「医療資源を無駄遣いすべきでない」

プロポフォールの不適切使用に関する投稿(日本麻酔科学会の公式Xより)

 

 10月14日にAmazon Prime Videoで配信された『KILLAH KUTS』が物議を醸している。この番組は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の演出を務める藤井健太郎氏が、企画・演出をおこなっている。

 

「『地上波では放送できない』をテーマに、芸人たちが過激な演出に向き合う番組です。現時点で第4話まで配信されており、第1話は『スポーツスタンガン』でした。防犯グッズのスタンガンを片手に、先に攻撃を受けたほうが負け、というルールで進み、MCのバナナマン・設楽統さんが『これ、ナイフとかと変わらないよね』とツッコむほど危険なロケでした。実際にスタンガンを受けた芸人はうずくまってしまい、まさに地上波では絶対に流せない内容でした」(芸能記者)

 

 

 そんな“攻めた”番組で、今回、批判が殺到しているのが第2話『麻酔ダイイングメッセージ』だ。ドラマの演出などでみられる、被害者が殺害される間際に残すダイイングメッセージを、意識を失う麻酔で再現するというもの。参加したのは、モグライダーラランド、みなみかわ、お見送り芸人しんいちだった。

 

「それぞれ刑事役と被害者役に分かれると、病院を舞台に殺害現場を再現します。麻酔を打たれた芸人は当然、意識を失いました。MCの伊集院光さんは『あくまで今回は、胃カメラ検査をするついでに、麻酔がかかるんだったらこういうこともやってみようと。麻酔を悪ふざけとか遊びに使うなんてありえないですね。あくまでそっちはオマケでございます』と強調しました。実際に、医師による検査の様子は映像とともに流されていますが、番組全体の長さからすれば、わずかでした」(同前)

 

 この番組に対して激怒したのは、公益社団法人の日本麻酔科学会だ。10月16日、【静脈麻酔薬プロポフォールの不適切使用について】というタイトルとともに

 

《10月14日配信開始の番組において、プロポフォールが不適切使用されたことについて、深い憂慮を抱いております。当学会として、麻酔薬の不適切使用は断じて容認できません》

 

 と、怒りの声明を発表した。

 

 一般人にとって縁の遠い麻酔だが、何が医師の逆鱗にふれたのか。

 

「このような行為は、医療倫理に反するだけでなく、視聴者に誤った認識を与え、人命を危険にさらす可能性があります」

 

 と強い懸念を示すのは、五良会クリニック白金高輪理事長である五藤良将医師だ。

 

「麻酔薬、とくにプロポフォールのような静脈麻酔薬は、非常に強力かつ、危険な薬剤です。これらは呼吸抑制を引き起こす可能性があり、適切な監視や管理がなければ、致命的な結果をもたらすことがあります。事実、プロポフォールは過去にマイケル・ジャクソン氏の死因としても知られており、彼のケースではこの薬剤の不適切な使用が命を奪う要因となりました。

 

 プロポフォール以外でも、麻酔薬はその特性上、短時間で患者の意識を低下させるだけでなく、呼吸や循環機能に直接、影響を与えるため、わずかなミスでも重大な結果を招く可能性があります。適切な量が守られなかった場合、呼吸停止や心停止が突発的に発生するリスクが高まります。このような強力な薬剤が、番組の企画という“娯楽目的”で使用されることは、医療従事者として決して容認できるものではありません。医療はサービスかもしれませんが、その本質は困っている患者さんを助けるということ。単なる娯楽のために、限られた医療資源を無駄遣いすべきではありません」

 

 コロナ禍においてプロポフォールは、人工呼吸器を使用する際に使用され、供給不足となったこともある麻酔薬だ。こうした貴重な“医療資源”が不必要に使用される問題を指摘したうえで、五藤医師はこう憤る。

 

「医療者としての責任感にもとづき、私はこのような行為を決して容認できません。繰り返しますが、医療は命を守るためのものであり、安易にその資源が消費されるべきではありません。番組制作側や、視聴者のみなさまにもそのことを理解していただきたいと強く願います」

 

 芸能ジャーナリストは、近年のバラエティ番組についてこう解説する。

 

「コンプライアンスが重視される世のなかで、地上波で過激な演出はスポンサーがつかず、敬遠されます。一方で、配信番組はその縛りが少なく、企画が通りやすいのです。しかし、配信番組なら何をしてもいいのかと言えば、そんなことはありません。藤井氏は、バラエティ界でも攻めた企画を連発することで知られています。でも“危険な企画”だからこそおもしろいというわけではありません。誰かが負傷するかもしれないというチキンレースは、何も有益ではないはずです」

 

 医師や学会からの“メッセージ”を、しかと受けとめたほうがいい。

( SmartFLASH )

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