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清野菜名『119エマージェンシーコール』ずっと続く地味な画面に欠かせない名脇役…7人チームなのにポスターは6人の “ハブられ” に違和感

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記事投稿日:2025.02.10 11:00 最終更新日:2025.02.10 11:00
出典元: SmartFLASH
著者: 堺屋大地
清野菜名『119エマージェンシーコール』ずっと続く地味な画面に欠かせない名脇役…7人チームなのにポスターは6人の “ハブられ” に違和感

 

 

 中居正広・フジテレビ問題のとばっちりを受けまくっている今期の月9ドラマ『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系)。

 

 清野菜名が主演で、119番通報先である横浜市消防局・通信指令センターを舞台にしたドラマである。

 

 

 しかし、1月27日(月)に放送予定だった第3話が、10時間超となった異例のフジテレビ会見のせいで急遽2月3日(月)に延期。

 

 さらに、本作は横浜市と横浜市消防局が全面的に協力する形で撮影されていたのだが、第3話のエンドロールではそれまで記載されていた「協力・横浜市消防局」などのクレジットが消えていた。

 

 このように、ドラマとは直接無関係な “場外” で起こっている問題でケチがついているため、作品への同情的な声も多い。だが、中居正広・フジテレビ問題の影響を抜きにしてフラットな感覚で視聴しても、筆者としては引っかかるところがある。

 

■率直に言って画(画面)が地味

 

 それは、シンプルにエンタメ作品としておもしろいかどうか。前述のとおり、本作は119番通報先の指令管制員たちの活躍を描く物語。電話を受け、第一声で「119番、消防です。火事ですか、救急ですか」と尋ねる。そして通報者からヒアリングをおこない、適切に救急車、消防車の出動指令を出す。そんな緊迫したシーンが次々と描かれていく。

 

 清野演じる主人公は、一度聞いた声や音は忘れないという優れた聴力・記憶力を持った新人指令管制員。ほかに主人公が所属するチームの先輩役に瀬戸康史、係長役に中村ゆり、主任役に佐藤浩市など、実力派キャストが揃っている。

 

 しかし、率直に言って画(画面)が地味なのだ。

 

 言わずもがな、主人公たちの見せ場は電話を受けているシーン。職務中は通信指令センターから一歩も出ず、事件発生から解決に至るまで室内だけでストーリーが進んでいくので、画の変化が乏しい。消防車が出動していく様子などがダイナミックに描かれても、そこに主要キャラは誰一人としていない。

 

 画が地味という問題は企画立案時から不安材料としてあがっていたはずで、百も承知でニッチな職業にスポットを当てたのだろうが、それならば懸念点を杞憂にするための工夫をもっと凝らしてほしかった。一例だが、『王様のレストラン』(1995年/フジテレビ系)のように、室内のワンシチュエーションものでも、登場人物たちが個性的で会話の掛け合いがおもしろければ、画の変化なんてほとんどなくても視聴者をグイグイと没入させられるもの。

 

 だが、『119エマージェンシーコール』には、そういった会話劇としてのおもしろさはあまりない。

 

■気概が空回りしている?

 

 一応、主人公が勤務後に自分が受けて気になった通報の現場に足を運ぶのが、お約束の展開になっている。聴力・記憶力のよさを活かし、通報を受けたときのことを思い出しながら、現場でなにが起こっていたかを想像で再現。そうして通報現場で覚えたり学んだりしたことを、次の類似の通報を受けたときに活かしているのだ。

 

 ドラマ的には室内だけの単調な作品にならないよう、画のバリエーションをつけるための演出なのだろうが、この程度の工夫では不安材料の大きなマイナスポイントを補いきれていないように感じる。

 

 公式サイトでは《一本の電話で命をつなぐ新たなヒーローが誕生!》と謳われている。119番通報を受ける指令管制員たちの仕事が、救命が始まる最初の “現場” であり、非常に重要でリスペクトすべき職業であることは理解している。だから、指令管制員をフィーチャーしてドラマ化するというチャレンジ自体は素晴らしい。

 

 ただ、おもしろいかどうかは別問題。エンターテインメント作品として楽しめるように、もっと脚本や設定にこだわってほしかった。消防ものや医療ものなど「救命」をテーマにしたドラマはさんざん作られており、スポットを当てる職業はだいぶ掘り尽くされている。だから、過去作品となんとか差別化して斬新な作品にしようと考えたのだろうが、その気概が空回りしているような気がしてならない。

 

■あの名脇役だけポスターにいない

 

 話が変わるのだが、このドラマの制作陣の姿勢に異を唱えたいことがある。

 

 それは公式サイトのトップページやポスターに使われているポスタービジュアルについて。主人公が所属する「司令課3係」のメンバーは全7名で、俳優は清野菜名、瀬戸康史、見上愛、一ノ瀬颯、前原滉、中村ゆり、佐藤浩市が演じている。だが、ポスタービジュアルに写っているのは6名のみ。前原滉がいないのだ。

 

「前原滉」という名前を聞いて、顔が思い浮かばない人もいるとは思うが、近年数々の作品に出演している名バイプレイヤーなので、細い目にメガネをかけたやさしそうなその顔を見れば、知っている人は多いだろう。

 

 前原は唯一外されてしまっているのだが、けっして本編で出番が少ないわけではなく、セリフが多い役どころ。むしろ、重い空気を和らげてくれるコメディリリーフ的なポジションで、画が地味ななかで、本作に欠かせない魅力的なキャラのように思う。

 

 役者としての格の問題なのかルックスの問題なのかはわからないが、マジでフジテレビのドラマ班はどういうセンスをしているんだと神経を疑うレベル。7人チームのなかで前原のキャラだけポスタービジュアルに入れてあげなかった納得の理由があるのなら、ぜひ教えてもらいたいものである。

 

 ――今夜放送の第4話では、一ノ瀬颯が演じるキャラクターがメインのエピソードとなるようだが、一人だけハブられるという不遇な扱いを受けた前原滉の活躍にも期待したい。

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