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誕生20周年・AKB48“初代×4代目総監督対談”高橋みなみ「壮絶な舞台裏…敦子も優子も支えてくれた」、倉野尾成美「私たちのライバルは全盛期のAKB48」

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記事投稿日:2025.04.04 06:00 最終更新日:2025.04.04 07:33
出典元: 週刊FLASH 2025年4月15日号
著者: 『FLASH』編集部
誕生20周年・AKB48“初代×4代目総監督対談”高橋みなみ「壮絶な舞台裏…敦子も優子も支えてくれた」、倉野尾成美「私たちのライバルは全盛期のAKB48」

初代総監督の高橋みなみ(左)は「1」、4代目総監督・倉野尾成美は「4」のポーズ(写真・福田ヨシツグ)

 

 2005年に誕生したAKB48は、2025年が20周年のアニバーサリーイヤー!

 

 AKB48をまとめる「AKB48グループ総監督」という肩書も、初代・高橋みなみから横山由依、向井地美音、4代目・倉野尾成美へと受け継がれてきた。

 

 そして2024年12月には、AKB48劇場がリニューアルされ、新たなスタートを切った公演初日に、倉野尾が「もう一度、東京ドームを目指す!」と力強く宣言した。

 

 AKB48は、2012年に初の東京ドームコンサートを成功させているが、ドームコンサートは2014年が最後で、2015年開催の『大運動会』以来、じつに10年も遠ざかっているのだ。

 

 倉野尾の宣言により、再び夢の大舞台へと歩みを進めているAKB48。今回は20年の歴史や、現在と未来を語るため、初代総監督・高橋みなみと4代目総監督・倉野尾成美のレア対談が実現した!

 

 

――まずはAKB48の20周年、おめでとうございます!

 

高橋 20周年を迎えるなんて、想像していなかったなぁ。最初は秋元(康)先生の写真が載った白黒のチラシ1枚を頼りにやって来たので(笑)、AKB48がこんなに続くなんて正直、思ってなかった。

 

倉野尾 私はいま24歳なので、自分が生まれた4年後にはもう始まってたんですよね。そう考えると、20年もグループが続いているって本当にすごいことだなって思います。

 

高橋 私は前半の10年間を知っているけど、後半の10年間はほぼ知らないし、なるちゃんは後半の10年を知ってるけど、前半の10年をほぼ知らないでしょ。2人合わせて、ちょうどAKB48の20年の歴史が見える感じになるね。

 

倉野尾 たしかに! 私が入ったばかりの1、2年めは、たかみなさんがいらっしゃる時期で、そのときの空気作りが本当にすごいなと思っていました。たかみなさんがいると、その場の空気が締まるし、メンバー全員を引っ張っていくエンジンのような存在で。

 

高橋 でも、やっぱり総監督っていう肩書がつくと、どうしても若いメンバーからは怖い存在に見えちゃうんだよね。実際、字面と言葉の響きが強すぎるなって思うし……。だから、怖い存在にならないように親しみやすさを大切にしてたんだけど、ある程度の威厳も必要だと思う。総監督って、立ちまわりがホント難しいよね。

 

倉野尾 そうなんですよね。じつは私、自分のキャラに迷ったり、アイドルとしてもがいてたり、妙に“尖ってた”時期が長かったんです。

 

高橋 尖ってたの?(笑)

 

倉野尾 自分で言うのもなんですけど、けっこう感じ悪い時代があったんです(笑)。もともとチーム8(エイト)に所属していたこともあって、AKB48の本流をライバル視していたというか。チーム8として活動していくうちに、先輩に対して負けたくないという思いが強くなったというか……。

 

高橋 なるほど、8精神ね。

 

倉野尾 そんな時代を知っている先輩やファンの方は、いまの私を見て「ヘラヘラしてる」って驚くかもしれません(笑)。それくらい、キャプテンや総監督を経験して自分は変わったなと感じます。たかみなさんは、みんなを引っ張っていく圧倒的リーダーの総監督でしたけど、私は選抜落ちも経験しましたし、この10年間、いろいろな挫折を経験してきたので、たかみなさんのような総監督像を目指しつつ、自分の経験をフルに生かしてメンバーを支えたいなって。

 

高橋 私は1期生だったから先輩はいなくて、選抜落ちの経験もなかったから、メンバーを引っ張っていくことに必死だったんだけど、メンバーの悩みや気持ちを自分ごととして理解できるのは、挫折も経験してきた、なるちゃんの強みだよね。私、以前に選抜落ちしたみいちゃん(峯岸みなみ)に寄り添おうとしたら、「たかみなには私の気持ちわからないよ」と言われたことがあって。それがいろいろな意味ですごく心に残ってる。

 

「敦子のひと言が、心に響いて救われた」

 

――高橋さんの時代を振り返ると、どんな印象ですか?

 

高橋 当時は本当に壁だらけで、ただただ目の前のことに全力でぶつかるしかなかった。とくに、楽屋の雰囲気は壮絶でした。みんな寝不足で疲れているけど、それでもありがたいことに、大きな仕事が次々と舞い込んでくる。いちばん過酷な時期は、1日にCMを数本撮って、MV3本撮ったりしてて、もう必死でした(笑)。

 

倉野尾 超多忙のなか、アイドルとして自分もパフォーマンスしつつ、総監督としてメンバーをまとめていく……すさまじいですね。運営スタッフさんとメンバーの板挟みなどの葛藤はありましたか?

 

高橋 あったあった! 総監督って中間管理職みたいなものだから、板挟みでつらいよね。私の場合、何から何まで全部ひとりで抱え込んでいた。あるとき、自分でも気づかないうちに限界が来てたみたいで、わーっと泣いてしまったことがあったの。

 

倉野尾 たかみなさんにもそんな瞬間が?

 

高橋 撮影の合間だったかな。とにかく気持ちが抑えきれなくなっちゃって。そうしたら(前田)敦子が来てくれて、「言ってくれればよかったのに。ずっと隣にいたんだよ」みたいに声をかけてくれて。たったそれだけのひとことなんだけど、ものすごく心に響いて。そのとき初めて、“あっ、頼ってよかったんだ”って思えた。あのひとことがなかったら、もっとひとりで抱え込んでいたかもしれないなぁ。

 

――AKB48のドキュメンタリー映画にもありましたが、大島優子さんが体調不良の高橋さんに代わって、メンバーに一喝したシーンは印象的でした。

 

高橋 いま考えると、みんなに支えられていたなって思いますね。そのなかでもやっぱり、にゃんにゃん(小嶋陽菜)は特殊な存在でした。AKB48が激動の時代で、みんな疲弊しているのに、にゃんにゃんだけはスンッと普通にしているというか(笑)。ドキュメンタリーで私が怒っているとき、彼女はマッサージを受けていたんです(笑)。そんなときもにゃんにゃんの場合は「まあ、いっか」ってなる(笑)。それだけ特別な存在だったんです。

 

――高橋さんは総監督の肩書を横山由依さんに引き継いだわけですが、当時はすんなり決まったのですか?

 

高橋 じつは、私が卒業を決めたとき、ただやめるだけじゃなくて「総監督という役職自体をなくしたい」って、秋元先生に相談したんです。後輩にこの役を引き継いでもらうには、あまりにも荷が重すぎる。とくに、先輩がいる状況で総監督をやるのは、精神的にすごく厳しいものになるだろうと思って……。

 

倉野尾 そうだったんですね。

 

高橋 だから当時は、“こんな大変な役職を横山に押しつけてしまって申し訳ない”という気持ちのほうが大きかった。けど、結果的にその後、みーおん(向井地美音)が引き継いで、なるちゃんががんばってるのを見ると、総監督を存続してよかったのかなって思います。ただ総監督って責任が重い役職だから、どうしてもプレイヤー(アイドル)としてよりも、総監督の役割に意識がいきがちだよね。

 

倉野尾 そうなんです。まだ私は総監督になって約1年なんですけど、もう節目、節目の瞬間の緊張がすごくて。旧劇場最後の公演とか、新劇場での新公演初日とか……。正直、ライブ本番よりもスピーチのほうが緊張しますね。

 

高橋 でも、なるちゃんが新公演「ここからだ」のあいさつで、東京ドームを掲げてくれたのは、私、すごくうれしかったな。

 

倉野尾 そうおっしゃっていただけて安心しました。じつは宣言すべきかどうか、ぎりぎりまで悩んだんです。

 

高橋 宣言してよかったと思う。あのひとことで“船が動き出した”って感じがしたもん。

 

――新公演の冒頭曲は、公演名と同じ『ここからだ』という曲ですが、歌詞がAKB48にとってかなり自虐気味というか……衝撃的でした。

 

倉野尾 攻めてるね~って言われることもけっこうあるんですけど、私的にはそんなにネガティブには感じなかったんです。過去の栄光をただ振り返るだけのグループじゃなくて、いまの自分たちを見つめて、そこから前に進む力を持っているグループだと伝えられる。それがこの曲の魅力だと思っています。

 

高橋 たしかに、現実を歌にするのはAKB48らしい。そもそも、AKB48には泥臭いところがあるから。いまはいろいろなタイプのアイドルがいるけど、AKB48は“雑草魂”というか、どんな状況でも戦っていくような強さがあるのよ。だからこそ応援したくなるし、『ここからだ』みたいな曲が似合うんだよね。

 

倉野尾 新公演では『劇場へようこそ!』という曲もあるんですけど、「憧れの東京ドームへ」っていう部分が、私的にすごく刺さったんです。AKB48としては何度か東京ドームコンサートをやってるから、「再び」っていうフレーズでもいいのかもしれないけど。でも「憧れ」のほうが、いまのAKB48の立ち位置をリアルに表わしている気がしてしっくりきたし、そこに夢と希望を感じるんです。いまは“やってやるぞ”という気持ちがすごく強くて。

 

「“好きの火力”をもっと上げていきたい」

 

高橋 卒業してあらためてAKB48を外から見ると、時代の流れを感じることが多いんだよね。AKB48が日本のアイドル業界を作った時代があったけど、同じ形でずっと続けるのは難しい。新しいものを求める人が多いし、それに応えるように、たくさんのグループが出てきた。最近はK-POPのグループも勢いがあって、注目されるアイドルがどんどん出てきている。だけど、AKB48はAKB48らしく進化していけば、また“AKB48の時代”が来るんじゃないかなって思うよ。

 

倉野尾 そうですよね。流行を取り入れるのも必要だけど、あまりそこに引っ張られすぎると、AKB48らしさがなくなってしまう。だから私、ほかのアイドルグループに、あんまり対抗意識はないんです。いまのAKB48のライバルは、たかみなさんが総監督時代の“全盛期のAKB48”。そういう気持ちで挑んでます!

 

――激アツですね! では最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。

 

高橋 ファンのみなさんにはここまで応援していただいて、本当に感謝しかないです。これからは“好きの火力”をもっと燃やして応援してほしいです。

 

倉野尾 “好きの火力”。それ、すごくいいですね! 締めの言葉として、いつか使ってもいいですか?(笑)

 

高橋 どうぞどうぞ(笑)。

 

倉野尾 AKB48を愛してくれるみなさんがいるからこそ、メンバーも強くなれるし、がんばれる。ともに歩んでくれるファンがいるからこそ、活動を続けていけるんだと実感しています。だから一緒に“好きの火力”をもっと上げていきたいですね!

 

高橋 もう使っちゃった!(笑)

 

たかはし みなみ 
1991年4月8日生まれ 東京都出身 2005年にAKB48の1期生として加入し、初期メンバーを牽引。AKB48グループの初代総監督を務め、グループの象徴的存在として活躍。2016年に卒業後は、タレントとしてマルチに活躍中

 

くらのお なるみ 
2000年11月8日生まれ 熊本県出身 2014年にAKB48チーム8の熊本県代表として加入。チーム8の中心メンバーとして活躍。2024年3月から4代目AKB48グループ総監督に就任。再び東京ドーム公演を目指すことを宣言して話題に

 

取材&文・鮎瀬舞子、昌谷大介(A4studio)
ヘアメイク&衣装・オサレカンパニー(倉野尾)

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