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ラウールのホスト姿が妙に生々しくてリアル!『愛の、がっこう。』色眼鏡で見てしまいがちだが、“純愛もの” としてきわめて良質

ラウール
ひと言で説明するなら「ホストと高校教師の恋愛もの」であり、その字面に漂うイロモノ感から敬遠しているドラマファンも少なくないだろう。
木村文乃が主演で、Snow Man・ラウールが恋のお相手として出演している「木曜劇場」(フジテレビ系・木曜22時枠)の『愛の、がっこう。』。7月24日(木)に第3話まで放送されている。
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筆者も視聴前は色眼鏡で見ていたが、思っていたよりはるかにいい。純愛ドラマとしてきわめて良質で、ぐいぐい引き込まれる。特にラウール演じるホスト・カヲルが妙に生々しく、存在感が際立っているのだ。
■ホストに読み書きを教える秘密の個人授業
名門私立女子校の国語教師・小川愛実(木村)は、もともと教職を目指していたわけでもなく、生徒たちは反抗的で信頼関係を築けていないため、“こんなところから逃げ出したい” と思いながら淡々と仕事に臨んでいた。
ある日、生徒がホストにハマっていることが発覚。連れ戻すためにホストクラブへ向かった愛実は、そこで生徒が貢いでいた相手であるカヲル(ラウール)と出会う。
カヲルは人なつこい笑顔と達者なトークを武器にのし上がり、No.1を目指している。ただ、育った家庭環境が悪く、小中学校をまともに通っていなかったため、漢字の読み書きが苦手だった。
カヲルは読み書きできないことを周囲に隠していたが、愛実は生徒ともう2度と連絡しないという念書を書かせようとして、その事実を知る。そんなカヲルに愛実は読み書きを教える秘密の個人授業を開始し、2人の心の距離が縮まっていく――というストーリー。
■ラウールのホストの再現度は群を抜いている
筆者はかつて、現役ホストをモデルとして起用していた『メンズナックル』というファッション誌のライターを務めていたため、何十人ものホストと会ったことがある。
そんな筆者から見て、ラウール演じるカヲルの “ホスト感” はかなりリアルに思えた。
セリフや行動といった脚本で指示されている部分はもちろんなのだが、なによりラウールの所作が、ひとつひとつ妙に生々しい。客前での華やかなシーンだけでなく、裏の顔を見せるホスト同士のシーンでも、リアリティの追求に余念がないように感じられた。
少なくとも、自分が知るかぎり、ドラマや映画に登場するホストのなかで、再現度は群を抜いている。
■安物のシャーペンを贈るシーンが珠玉すぎる
そんなカヲルが、愛実と出会ったことで少しずつ変わっていく様子をていねいに描写。
第3話時点では、カヲルは愛実に心を開いているフリをしているだけで、お店に通わせて金づるにしようとたくらんでいるのだが、すべて騙すためにしているとは思えず、ときおり “素の顔” を出しているようにも見える。
たとえば、第3話で愛実がカヲルのためにシャーペンをプレゼントするのだが、「俺にペンくれるヤツなんていままで1人もいなかったから」とうれしそうにするカヲルの表情が素晴らしい。この一連のやりとりは、本作を象徴する珠玉の名シーンだろう。
ホストといえば、ふだん何十万円も何百万円もプレゼントをもらうだろうが、そんな相手におそらく1000円もしない安物を贈る愛実。ペンを贈りたいと思いつき、文具コーナーで思案する表情がよかった。カヲルの知的好奇心を信じ、もっと読み書きの勉強にやる気が出るようにと想いを込めた愛実が、とにかく尊かったのである。
「木曜劇場」でSnow Manメンバー出演の純愛ドラマと言えば、2022年に社会現象を巻き起こした『silent』が思い出される。『silent』でSnow Man 目黒蓮は俳優として大ブレイクしたが、ラウールはいかに? 今夜放送の第4話も楽しみだ。