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「松本穂香は揺るがない強さを持っている」とてれびのスキマ氏
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.10.07 11:00 最終更新日:2018.10.07 11:00
テレビっ子のライターである「てれびのスキマ」氏が、松本穂香の魅力を語る。
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ドラマ『この世界の片隅に』の「すずさん」役に松本穂香が起用されたと知ったときは驚いた。
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大抜擢だと言えるだろう。何しろ、脇を固めるのは松坂桃李、二階堂ふみ、尾野真千子、榮倉奈々……といずれも数多くの映画・ドラマで主役を張ってきた名優ばかり。
果たして、その中でキャリア的にはまだ“新人”と呼べる彼女がどう立ち向かっていけるのか。始まるまでは正直言って不安だった。
学生時代は、目立たずクラスの片隅にいるタイプだった。マイペースで根暗。男子も女子も下の名前で呼び合っているなか、彼女だけは最後まで「松本さん」と呼ばれていた。
高校のころに演劇部に入ったのも、そこが変わり者の集まりで、自由なままいられると思ったからだ。芝居の楽しさを知った彼女は、在学中に事務所オーディションに合格した。
松本穂香が注目を浴びたのは、朝ドラ『ひよっこ』で青天目澄子を演じたときだ。朝ドラのメガネっ娘は強い。このときは圧倒的に “勝ち戦” だった。
朴訥な姿は共感を呼び、その後、メガネを外して出演したauのCM「意識高すぎ!高杉くん」での可憐な姿が大きなギャップとなり、話題を呼んだ。
このCMでの呼び名も「松本さん」だった。そして主演した『この世界の片隅に』でも「すずさん」。「さん」をつけたくなる、ちょっとした距離感が心地いい。
ボーッとしているように見えて、その奥にはどっしりと揺るぎない自分を持っている。まわりには簡単に染まらないが、その片隅には違和感なく存在する。松本穂香は、そんなドラマ版の「すずさん」のイメージとぴったり重なる。
原作やアニメのイメージを損なうことなく、けれど、そのままではないオリジナルの「すずさん」を作るというあまりにも難しいことを、力の抜けた、ふんわりとした笑顔のままやってのけたのだ。
彼女は、この世界の片隅に居続けながら、その場所をいつの間にかど真ん中に変えてしまうような、揺るがない強さを持っている。
まつもとほのか
21歳 1997年2月5日生まれ 大阪府出身 T162 2015年、高校在学中にデビュー。日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)で主演。そのほか最新情報は、公式Twitter(@matsuhonon)にて
文・てれびのスキマ
写真・丸谷嘉長
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(週刊FLASH 2018年9月25日号)