「最初はどんな世界でも一緒だけど、師匠のものまねから入る。新作を作ったり、野球が好きだから野球落語を作ったり。
今は古典をやってみようかと変わってきて、今朝も飛行機の中でブツブツ言いながら覚えてた。だからボケないんだろうと思ってる。今、とりたてて目指すようなものはない。なんたって70だから、馬なりだよ。
師匠に食べていく道を教わった。それもただで。怒られたってそんなもの、パワハラに入らない。愛情のある殴りってあるでしょ? 落語の世界だったら扇子でパカンとやられて、『バカだねえ、お前は!』。
殴るよりひどいのは言葉だから。『うまいねえ、どこのお弟子さんですか?』、これ嫌味だよ。今の人たちはすぐパワハラだって騒ぐけど、こんな人たち放っておいたら世の中どうなっちゃうんだろうと、逆に思うね」
三遊亭小遊三が「本当の戦友」だと言う。
「もし小遊三さんに先に逝かれるようなことがあったら、友達がいないから寂しいよ。逆に僕が先に逝ってしまったら、小遊三さんも寂しいと思うよ。残されるのはイヤだから、お互いに先に逝くと言い合っている。
歌丸師匠のときでもあんなに悲しい思いをしたんだから、たまらない。いちばん寂しいのは、友達がいなくなったときだと思うね。
飲みに行ったって意見交換とか、文句言ったり、愚痴をこぼしたり、そういうのが楽しいんだよ。年をとって独りにならないように、戦友は必ず作っておくべきだね」
2015年に離婚した。
「これは転機というより、僕が三行半を突きつけられたんだから、受け止めるしかない。隣の晩ごはんじゃなくて、『よそのうちの女』をつまみ食いした、とみんなが思うぐらいでかまわない。
子供3人を育ててくれたから、男の責任としてやるだけのことはやってる。落語家としてのダメージはない。家も通帳も全部置いて出てきて、今住んでいるのは6畳1間。1人でいてさ、手を伸ばせばなんでも取れるし、掃除をするのだって簡単にすむ。
『家にカネをかけても、カネは生まない』って言った人がいるけど、同感だね。それなら身の回りのものに使うとか、誰かと飲みに行くとか、食べに行くほうがずっと大事……」
1982年からメジャーリーグを観始めて、所属30チームのうち25チームの本拠地の試合を観ている。51番(イチロー選手)の追っかけだ。
「松井秀喜選手がヤンキースに入団したときに、ニューヨークへ行ってからシアトルに入った。マリナーズの球場で51番のところへ行ったら、『どうせニューヨークからのお帰りでしょ?』って。お見通し!」
それからは、51番を見てから、青木宣親選手のところへ行く。愛人のところへ行く前に、まず本妻のところへ顔を出す感じだね。51番の生きざまが格好いい。名のある人は男も女も生き方が格好いいから尊敬するし、惚れる。
死ぬまでは、ヨネスケという名前を忘れないでほしいと思うけど、これからは『生きざまの格好いい男』になりたいね。どんな生きざまでも格好よかったらいい。野垂れ死にだっていい」
(週刊FLASH 2019年1月22日号&1月29日号)